平成31年-令和元年度では以下の研究計画の内,主に1)と2)に関して研究を行った。1)化合物スクリーニング: マウス浸潤性膀胱癌細胞株においてIFN-γ投与下にPD-L1を発現させ,抗体蛍光標識させた後に,ライブラーコンパウンドを投与し,発色を測定する。発現抑制効果が見られた化合物を候補薬剤としてピックアップする。2)アログラフトモデルを用いて評価: スクリーニングで用いた細胞株のアログラフトを作成し,抗PD-1抗体と共に候補薬を投与し,抗腫瘍効果を検討する。3)PD-L1発現制御メカニズムの解明: 用いた薬剤の作用機序とPD-L1発現の関連を検討し,その分子メカニズムを考察する。
1)当科で作成したマウス浸潤性膀胱癌細胞株であるUPPL1541を用いて,組織培養液中にINFγを加え,24時間後に抗Pdl1抗体で染色を行い,フローサイトーメトリーで確認した所,INFγ投与群ではコントロールIgG投与群に比較して有意にPdl1の発現が上昇していた。同様の条件で培養し,細胞固定した後に蛍光免疫染色を行い、染色条件の最適化により有意なPdl1発現上昇を確認した。Pdl1発現を抑制可能な薬剤のスクリーニングを進め、複数の候補薬剤を抽出した。2)候補薬をin vitroでのPd-l1発現抑制に最適な濃度設定を行っている。UPPL1541アログラフトモデルに投与し、腫瘍抑制効果を検討している。 3)についても転写レベルやPd-l1分子の細胞内動態を中心に検討している。
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