研究課題/領域番号 |
18K16699
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
北野 弘之 広島大学, 病院(医), 助教 (60721933)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性前立腺炎 |
研究実績の概要 |
慢性前立腺炎患者8症例から、針生検によって前立腺組織を採取して前立腺オルガノイドを作成した。作成時には、慢性前立腺炎のおスコアで軽症・中等症・重症の3群を各2例ずつ作成した。各群をコントロール群・薬剤A群・薬剤B群とした。薬剤AとBを添加して、3日毎に薬剤を入れ替えながら2週間ほど待機し、2週間後に前立腺オルガノイドからパラフィンブロックを作成、またRNAも抽出した。RNAをmicroarrayにかけて、DNAの増減と活性化している生体内の経路を検索中である。また炎症マーカーに特化したmicroarrayも施行して、慢性前立腺炎で特異的に変化するであろうDNAを検索中である。 本研究では、これまでに明らかになっていない慢性前立腺炎・骨盤痛症候群のバイオマーカーと、治療薬を創薬する事が目的である。microarrayによりバイオマーカーを特定し、またそれが別サンプルでも特異的に増減していることを確認した後に、現行にて使用できる前立腺治療薬や抗炎症薬が治療薬となり得るかを確認していく作業が必要になると思われる。そのため、特異的なマーカーが明らかになったのちには、正常前立腺細胞もしくは前立腺肥大症細胞を用いて、炎症状態を惹起したのちには、どの薬剤が炎症マーカーを抑制するのか、in vitroの研究計画をすすめていく予定である。 これらの研究をすすめていくことにより、前立腺肥大症治療薬と抗炎症薬などが含まれた、治療プロトコールを作成することが可能であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オルガノイドの作成に関して、当初は失敗も経験したが、いくつかの改善点を見い出して現在は作成における問題点はない。そのため、オルガノイドの作成後に薬剤を添加して、必要な細胞数が確保できる期間を何度か試し、現在は良質な検体を作成できている。その後はパラフィンブロック作成に時間を要したが、問題なく研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り各薬剤に対する前立腺オルガノイドの反応性をDNAの増減と活性化している生体内の経路を確認していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性前立腺炎オルガノイドの作成には時間がかかったが、技術水準が一定となったのちには円滑に実験計画がすすんだ。そのため18検体のmicroarray解析費用も含めても配布された予算内で研究を遂行する事が可能であった。ただし、解析の時間と解析結果を評価する為に時間を要した為に、更なる研究へ進むことができなかったので残額(129,942円)が生じた。今後は解析結果を元に、PCR検査によるDNAの発現検査や活性経路の関連蛋白の発現を確認していく。
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