尿道炎、尿道癌、尿道狭窄を除外し、NIH-CPSIの痛みあるいは不快感についての項目で、(1)排尿中の痛み、または灼熱感、(2)射精している時、射精後の痛みまたは不快感という質問項目をひとつ、もしくは両者を、あると答えた患者を慢性前立腺炎患者とする。さらに、前立腺マッサージ後の、前立腺圧出液もしくはマッサージ後尿に白血球がある場合はⅢA(炎症性)、ⅢB(非炎症性)と定義し、慢性前立腺患者から経直腸的前立腺生検により採取した前立腺組織を用いて、前立腺オルガノイド作製プロトコール(Nature Prot 2016)に準じて、CP/CPPSオルガノイドを作成した。 慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の患者14例の前立腺組織を採取し、軽症4例、中等症7例、重症3例に分類した。それぞれの症例をコントロール群、エビプロスタット投与群、タダラフィル投与群に分けて薬剤添加した後にRNAを抽出し、パラフィンブロックを作成した。継代したオルガノイドは5例にコンタミを認めたため、RNAシークエンスは11例で施行した。各3群で発現の変動する遺伝子をRNAシークエンスを用いたのちに、ANOVA解析やパスウエイ解析を施行して特定した。その結果、軽症、中等症、重症のそれぞれ3群で、IL-6とMAOAとSTAG2とCalbindin28Kが有意な変動を認めた。 さらに前立腺生検患者にNIH-CPSIを問診して、また前立腺マッサージ後尿の所見から慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の患者を特定して100例をに対して同遺伝子を免疫染色して、重症例にて有意に発現していることを明らかにした。
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