転移性膀胱癌におけるシスプラチン抵抗性にかかわる機序としてマイクロRNA200ファミリーが関与していることを検証してきた。CDDP抵抗性膀胱癌細胞株(T24RC)を用いて、感受性株(T24)と比較することにより、シスプラチン抵抗性にかかわるマイクロRNAをマイクロアレイを用いて検討し、抵抗性株におけるマイクロRNA200bが最も抑制されていることを確認した。マイクロRNA200bは他癌種においてもエピゲノム制御をうけることが知られており、我々はDNAメチル化の関与の可能性を検証した。バイサルファイト・パイロシークエンス法にてマイクロRNA200bの上流のCpGアイランドにおけるメチル化を定量し、DNAメチル化がマイクロRNA200b発現の抑制にかかわっていたことを確認した。このようにシスプラチン抵抗性にかかわるマイクロRNAはエピゲノムによる制御を受けている可能性が考えられ、さらにマイクロRNA200bはヒストン遺伝子の発現を抑制することを見出し、マイクロRNAとエピゲノム機構は相互に作用しあうことでシスプラチン抵抗性を形成する可能性があると考えられた。ゲノムワイドなDNAメチル化がシスプラチン抵抗性にかかわるという仮説を検証するため、膀胱癌細胞株(EJ138)にシスプラチン暴露を行い、抵抗性を獲得した耐性株(EJ138RC)に脱メチル化剤である5-アザシチジン処理を施行することで、同様にマイクロRNA200bの発現が上昇することが確認された。上記研究結果は第406回日本泌尿器科学会北海道地方会の特別講演として発表した。
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