研究課題
前立腺癌の局所治療の臨床応用として、まず正確な前立腺癌診断の確立を急務と考えた。MRI-TRUS同期前立腺針生検の臨床成績に関してこれをまとめ、生検施行医の穿刺技術は順調に確立されてきていることを確認した。この内容は海外雑誌に論文投稿し、採択された。さらに、針生検のlearning curveに関しても着目し、現在成績を解析中である。これらにより更なる穿刺技術の向上およびその評価を目標として研究を継続する予定である。臨床面では、前立腺癌の診断能および生検・穿刺技術は確立されてきており、局所治療にむけての準備が整ってきているといえる。またin vitroでは、酸化鉄を内包したナノ粒子を用い研究を行った。去勢抵抗性前立腺癌細胞株を用いて、ナノ粒子の細胞毒性を評価中であり、一定の濃度で細胞の増殖を抑制しない濃度を探索する予定である。また、in vitro研究を可能とする交流磁場照射ファントムを作成した。これはジャケット付ビーカーを用いることで周囲の温度を一定温に保ち外気の影響を受けないようにするものである。これを用い、交流磁場照射によるナノ粒子の温度上昇につき検証した。少量の鉄を含む状態では加温効果が得られず、結果としては鉄の質量に依存して温度上昇効果があることが分かった。磁場照射による溶液温度の上昇またそれによる癌細胞への障害に関しては現在も実験中である。ただし、一定量の鉄成分がなければ温度上昇が見られないことを確認しており、鉄成分による細胞毒性をきたさず、温度上昇を見込める鉄濃度を検索している。
2: おおむね順調に進展している
3Dプリンタを用いた実証は行ってはいないが、臨床でのMRI-TRUS同期生検による成績を解析した。In vitroで温度上昇による前立腺癌細胞への殺傷効果までは把握できてはいないが、交流磁場照射ファントム作成などによる基盤は整い、計画は順調である。
①3Dプリンタを用いた前立腺ファントム作成による穿刺技術の検証②前立腺癌皮下移植モデルマウスを用い、酸化鉄含有ナノ粒子注入・交流磁場照射による温熱治療効果の確立
交流磁場照射ファントム作成計画のため予定を見直したため、次年度予算案を必要とした。3Dプリンタを用いたファントム作成を予定していきたい。
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Journal of Endourology
巻: オンライン ページ: オンライン
10.1089/end.2020.0042