研究実績の概要 |
令和2年度は、前年度に確立したホルモン異常を引き起こした男性不妊症モデル動物による実験を行った。6週齢C57BL/6Jマウスを使用し、LH-RHアゴニストであるリュープロレリン酢酸塩30mg/kgを皮下注射したリュープロレリン群(L群)とコントロールとして生理食塩水を皮下注射したコントロール群(C群)に分けた。精巣重量あたりの間質面積は、L群の投与4週後で1.79、C群の投与4週後で1.13だった。次に、間質面積の拡大は、血管透過性の亢進によるものと考え、間質の血管面積の測定を行った。間質の血管面積は、L群の投与4週後で5.7x10-4mm2、C群の投与4週後で4.2x10-4mm2だった。さらに、間質面積の拡大は、間質の血管透過性の亢進によるものと考え、血管透過性を促進するサイトカイン(IL-6, IL-1a, IL-1b, TNF-α, Hifa, VEGF, Cdh5, Kng1, klk1)のmRNAの発現量をqPCRで評価した。結果、L群の投与4週間後のIL-6のmRNA発現量は、C群の投与4週間後に比べて有意に増加していた。その他のサイトカインのmRNAの発現量は、有意差をみとめなかった。本研究からLH-RHアゴニストの投与により、精巣間質の拡大が生じることが明らかとなった。さらに、精巣間質の拡大のメカニズムとして、IL-6による間質の血管透過性の亢進による可能性が示唆された。
|