研究課題/領域番号 |
18K16712
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中島 信幸 東海大学, 医学部, 講師 (20580319)
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研究期間 (年度) |
2021-03-01 – 2024-03-31
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キーワード | 再生医療 / 骨格筋由来幹細胞 / サイトカイン / 体性幹細胞 / 尿失禁 / 前立腺癌 |
研究実績の概要 |
高齢化に伴い、本邦でも前立腺癌患者は増加傾向にある。ロボット手術等の普及により、前立腺全摘術後の尿失禁は減少傾向にあるものの、依然として術後の難治性尿失禁に悩む患者は少なくない。 これまでに我々は、骨格筋由来幹細胞を用いた腹圧性尿失禁に対する再生医療の実現を目指した研究を行ってきた。先行研究として、ヒト骨格筋由来幹細胞をラット尿道周囲損傷モデルに移植し、筋肉・神経・血管系への分化とパラクライン効果による尿道の良好な組織学的、機能的回復を証明した。ヒト骨格筋由来幹細胞を用いた腹圧性尿失禁に対する治療は、 前臨床段階にあるものの、幹細胞移植の倫理、制度、費用的なハードルは依然として高い。 そこで我々は、幹細胞そのものの移植研究と並行して、幹細胞培養液から精製したサイトカインカクテルを使用した組織再生研究を開始した。既に、マウス骨格筋由来幹細胞サイトカインカクテルによる、マウス末梢神経再生促進効果について報告した。 2021年度は、ラット骨格筋由来幹細胞サイトカインカクテルのラット尿道損傷モデルへの移植実験とGFP-Tgマイクロミニブタから骨格筋由来幹細胞(Sk-34,Sk-DN細胞)を分離・精製し、ヌードラット、ヌードマウスへの移植実験を主に行った。後者の実験では、ミニブタから精製した骨格筋由来幹細胞が、これまでのヒト、マウス、ラットでの結果と同様に、骨格筋細胞(Sk-DN細胞)、末梢神経細胞、神経周膜、血管周皮細胞等に分化することを確認した。これらの結果については、現在論文作成中であり、近日中の投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ラット尿道損傷モデルへの、サイトカイン投与の研究では、尿道内圧測定のための坐骨神経刺激と内圧測定について、測定機器のトラブルと手技方法を再度確立するのに時間を要した。また、ミニブタ骨格筋由来幹細胞のミニブタ尿道損傷モデルへの同種移植実験を予定していたが、COVID19感染拡大の影響により、外部施設の利用や研究時間の確保の問題が生じ、予定に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
ラット尿道損傷モデルの実験については、動物モデル、測定法、ラット骨格筋由来幹細胞サイトカインカクテル精製手法は既に確立している。サイトカインの投与方法の検討を行い、速やかに投与実験を行い、移植による尿道機能と組織学的評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れに伴い、次年度に試薬や実験動物等の購入の必要性が生じたため。
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