尿路結石の形成過程には、マトリックス糖タンパク質であるオステオポンチン(OPN)の発現が重要であることは良く知られているが、そのほとんどは、OPN遺伝子、ゲノム解析あるいは、タンパク質の機能解析に焦点をあてた研究であり、OPNの糖鎖部分の機能に着目し、結石形成との関連について調査した研究は皆無である。本研究では、OPN糖鎖が尿路結石の形成過程に果たす役割について調査し、結石形成における糖鎖性バイオマーカーや治療応用のための基礎的データを得ることを目的とする。平成30年度は、レクチンアレイにより健常人と結石形成患者の尿中OPNの糖鎖プロファイルの比較を試みた。また質量解析により健常人と結石形成患者の尿中OPNの糖鎖構造を詳細に解析するを試みた。その結果、レクチンアレイにより、結石患者において、特徴的なOPNの糖鎖プロファイルを同定した。令和元年度は、同定した尿中レクチン反応性OPNを結石治療前後の患者で長期的にモニタリングし、結石患者の治療後に尿中レクチン反応性OPN濃度が、変化することが示され、結石形成のバイオマーカーとして、使用できる可能性が示唆された。これらの成果をInternational Journal of Molecular scienceに発表した。
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