研究課題/領域番号 |
18K16720
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
得居 範子 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (00792342)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エクソソーム / 膀胱癌 / コータクチン |
研究実績の概要 |
近年、がん細胞の浸潤や転移におけるエクソソームの役割が注目されている。膀胱癌細胞が伸ばす足場(浸潤突起:Invadopodia)が浸潤・転移に必須であり、浸潤突起はエキソソームを分泌する。エキソソームの中にはmRNA、miRNA、酵素などが存在するが、未だ不明な点が多い。エキソソームはあらかじめ生存しやすい環境(前転移ニッチ)を整えて癌の浸潤・転移を補助している可能性がある。エキソソーム内には細胞バリアであるヒアルロン酸を分解する酵素がに含まれていることから、エキソソーム内容の伝達に重要である可能性が高い。しかしエキソソームとヒアルロニダーゼの点から癌の浸潤・転移を検討している研究はないため、本研究では膀胱癌細胞株の浸潤突起が分泌するエキソソーム内のヒアルロニダーゼに着目し膀胱癌浸潤・転移機序の解明を行う。本研究ではH30年度に以下の研究を行った。①3種の尿路上皮癌細胞株、KK47、RT-4、YTS-1から、超遠心により比較的大量にエキソソームを調製する方法を確立した。調製されたエキソソームの粒度・粒径を、ナノ粒子マルチアナライザーqNanoを使用して測定した。また、ウェスタン・ブロッティングによって、エキソソーム・マーカーであるCD9、TSG10の発現を検出した。上記2つのデータから確かにエキソソームの調製ができたことを確認した。さらに、蛍光色素PKH67を用いてエキソソームを蛍光標識し、細胞内とインキュベートした際に細胞内に取り込まれる過程を追跡する方法を確立した。②尿路上皮癌細胞株YTS-1を用いて、この浸潤突起形成に必須のタンパク質であるコータクチン(Cortactin)の発現を、shRNAにより抑制したCortactin KD YTS-1株を樹立した。本研究計画4つのうち、①の計画を完遂し、さらに、Cortactin KD YTS-1細胞を樹立した。ここまでの結果で、②で掲げたエキソソームが癌細胞の浸潤・転移に果たす役割を検討する実験の準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の研究を行った。①尿路上皮癌細胞株からエキソソームを分離し蛍光標識する。 3種の尿路上皮癌細胞株、KK47、RT-4、YTS-1から、超遠心により比較的大量にエキソソームを調製する方法を確立した。調製されたエキソソームの粒度・粒径を、ナノ粒子マルチアナライザーqNanoを使用して測定した。また、ウェスタン・ブロッティングによって、エキソソーム・マーカーであるCD9、TSG10の発現を検出した。上記2つのデータから確かにエキソソームの調製ができたことを確認した。さらに、蛍光色素PKH67を用いてエキソソームを蛍光標識し、細胞内とインキュベートした際に細胞内に取り込まれる過程を追跡する方法を確立した。②エキソソームが浸潤・転移に果たす役割について検討する。癌細胞が浸潤・転移するためには、浸潤突起と呼ばれる膜突起の形成が必須である。尿路上皮癌細胞株YTS-1を用いて、この浸潤突起形成に必須のタンパク質であるコータクチン(Cortactin)の発現を、shRNAにより抑制したCortactin KD YTS-1株を樹立した。Cortactin KD YTS-1からのエキソソームの回収は、対照の細胞に比べて著しく低かった。このことは、エキソソームの分泌には、Cortactinによって形成される浸潤突起の形成が必須であることを示唆する。 本研究計画①~④のうち、①の計画を完遂し、さらに、Cortactin KD YTS-1細胞を樹立した。ここまでの結果で、②で掲げたエキソソームが癌細胞の浸潤・転移に果たす役割を検討する実験の準備が整った。このことから、本研究計画は、現在のところおおむね順調に進捗していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定は以下である。まずエキソソームが浸潤・転移に果たす役割について検討する。続いて、臨床検体におけるエキソソームの検出、TMEM2の発現と予後の関係についての検証を行う。その後、臨床検体を用いたエキソソーム測定法の確立および表面マーカーと予後との関係についての検証を行う。
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