筋層非浸潤性膀胱がんはその高い再発率が問題となっているが、再発予防を目的とする膀胱内への薬物注入療法は新規の治療法の開発がなかなか進まず、治療成績の向上が得られていないという実態がある。筋層非浸潤性膀胱がんモデル(小動物用超音波診断装置ガイド下にルシフェラーゼ遺伝子を恒常的に発現する膀胱がん細胞を膀胱壁内に注入し安定的に増殖させる)を作製し、そのモデルに対して超音波造影剤(ソナゾイド)を膀胱内へ注入し、超音波を照射することで、同時に(膀胱内へ)投与した抗がん剤(エピルビシン、マイトマイシン)の薬剤送達効果が改善しより高い抗腫瘍効果が得られるか否かを解析する。腫瘍の増大および抗腫瘍効果は生体発光イメージングシステムを用いた発光強度および小動物用超音波診断装置で測定した腫瘍のサイズを経時的に測定することで評価する。動物実験に先立って、ルシフェラーゼを恒常的に発現する膀胱癌細胞の樹立に成功した。また、in vitroの実験では超音波造影剤、超音波照射、抗がん剤の組み合わせが高い抗腫瘍効果を呈することを示した。現在膀胱がんモデルが安定的に作成できるようになっており、小動物用超音波診断装置による腫瘍容量と生体発光イメージングで測定したルシフェラーゼ活性の相関の確認、および病理学的な評価を行っている。今後、この実験モデルを用いて治療実験を行い、ソノポレーション法を併用した抗がん剤の膀胱内注入療法の効果を検証していく予定である。
|