研究実績の概要 |
アクチンキャッピングプロテインの精子妊孕能への関与を検討するため、体外受精(IVF)を行ったカップルの男性不妊患者でのアクチンキャッピングプロテインの発現と治療成績との関連について検討を行った。 無精子症を除いた38例の射出精液の検体収集が可能で、キャッピングプロテインα3およびβ3の蛍光二重免疫染色を行った。正常形態精子100個を観察し異常染色率を算出し、IVFの治療成績との関連について検討した。検討項目は、受精率、胚盤胞到達率、受精率、妊娠率とした。精子濃度:141±75×106/mL, 精子運動率:57.5±14.8%、精子奇形率:48.5±15.1%であった。周期当たりの受精率:55.7±36.8%、受精卵当たりの胚盤胞到達率:47.1±37.6%であった。異常染色率が20%未満と20%以上に分けると、各々、n=18,20、夫年齢:38.3±1.2, 39.0±1.2、妻年齢:36.7±1.1, 37.8±1.0、精子濃度:145±15, 139±14 (×106/mL)、精子運動率:56.8±3.5, 58.0±3.4、精子奇形率:44.8±3.5, 52.0±3.3であった。受精率は異常染色率20%未満:68.4%、20%以上:44.2%と有意に異常染色群で受精率が低かった。一方、胚盤胞到達率は異常染色率20%未満:41.5%、20%以上:53.1%で有意差を認めなかった。
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