研究課題/領域番号 |
18K16736
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
岩本 秀人 鳥取大学, 医学部, 助教 (80621010)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / スニチニブ抵抗性 / アキシチニブ抵抗性 / microRNA / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
これまでにヒト RCC 細胞株である ACHN を用いて、スニチニブ耐性モデル(SR-ACHN)を確立してスニチニブ耐性獲得メカニズムを研究し、リソソーム関連膜タンパク2(LAMP-2)の発現増加がスニチニブ耐性獲得に関与することを解明してきた。 LAMP-2には生理機能の異なるLAMP-2A、2B、2Cという3つのスプライスバリアントがあるが、RCCのスニチニブ耐性に主に関与するバリアントは未だ同定されていなかった。我々はACHNおよびSR-ACHNを使用して、スニチニブ耐性に関与するLAMP-2バリアントを同定する実験を行った。ACHN、SR-ACHNにおけるLAMP-2A、2B、2Cそれぞれの発現、及び強制発現株作成の評価はPCRを行って確認した。LAMP-2A、2B、2C強制発現株のスニチニブ耐性獲得は細胞毒性試験を行って評価した。結果として、ACHNと比較しSR-ACHNにおいてLMP-2A、2B、2Cの全ての発現が上昇していることが確認されたが、強制発現株における細胞毒性試験では、LAMP-2Aと2Bの強制発現株がACHNと比較してスニチニブに対して有意に高い耐性を示すことが確認された。以上のことから、LAMP-2AおよびLAMP-2BはRCCのスニチニブ耐性に関与していることが示された。 今後は、「進行性腎癌に対する二次薬物療法において、アキシチニブの治療効果を予測するバイオマーカーとなる microRNAの同定」の実験に着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
鳥取大学泌尿器科において所有しているヒト腎癌細胞株(ACHN、RCC23、Caki-1、KMRC-1、RCC10RGB、TUHR10TKB、TUHR14TK)と独自に作成したアキシチニブ抵抗性腎癌細胞株2種を用いて、これらの細胞株をアキシチニブ含有培養液で継続して培養し、徐々にアキシチニブ濃度を上げ、各細胞の50% Inhibitory Concentration(IC50)でも安定して増殖を示すアキシチニブ耐性腎癌細胞株を作成する実験を行っているが、その作成に予定以上の時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きアキシチニブ抵抗性腎癌細胞株の作成を継続する。複数のアキシチニブ抵抗性腎癌細胞株が作成できた後は、これらの細胞株と親株におけるmicroRNA発 現量をmicroarrayにより網羅的に解析し、親株と比較して抵抗性株に共通して発現異常を示すmicroRNAを同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アキシチニブ抵抗性腎癌細胞株の作成に予想以上の時間を要しているため、本年度に予定していた実験に取り掛かれていないため。
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