研究課題/領域番号 |
18K16741
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
阪野 里花 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20600753)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 尿路結石 / ESWL / 宇宙空間 / オシロスコープ / ハイドロフォン |
研究実績の概要 |
宇宙空間では、微小重力の影響で骨吸収が生じ、尿中カルシウム排泄の増加によって尿路結石形成リスクが増大すると考えられている。私たちは、骨吸収阻害剤ビスホスホネートが微小重量による骨密度の低下と結石形成を予防することを、日本宇宙航空研究機構(JAXA)との共同研究にて証明した。宇宙空間で形成された尿路結石に対する外科的治療法が検討されたことはない。本研究では、小型化体外衝撃波結石破砕装置 (compact ESWL)を用い、宇宙空間での尿路結石手術を確立し、この成果を地球上での新たな手術療法として発展させることを目指す。 昨年、患者治療用のESWL(体外衝撃波結石破砕)機器 Gemini(Dornier MedTech)の衝撃波調整シミュレーターを用いた衝撃波強度を測定するため、共同チーム(東北大学・名古屋工業大学およびESWL機器メーカー)を立ち上げ、ハイドロフォンとオシロスコープの選定を行った。 本年は、ESWL装置の衝撃波測定に適したデジタルオシロスコープ(TDS2022C)を導入し、メーカーから貸与を受けたハイドロフォンを使用した衝撃波測定環境を構築した。実際には、ESWL機器の衝撃波モデル結石測定用のポジション(下方からの入射)で、ハイドロフォン用のチャンバーを用いて実施。デジタルオシロスコープで 専門家の指導を受けつつ、衝撃波強度の定量化を行った。観察時間は-0.0000252~0.00002478秒で、典型的な陰圧衝撃波形を得ることができた。 引き続き条件設定を行い測定環境を整えると共に、compact ESWLの共同開発について協議をすすめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年と同様の理由であるが、現行機種を改良しての破砕モデル構築の予定であったが、結石破砕のための衝撃波収束機能の付加が困難であると判明したことから、小型衝撃波装置の作成メーカーの選定まで計画が後退した。 しかし、大型ESWL装置を用いた衝撃波強度測定のための環境が整ったため、まずは基礎データを蓄積していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
小型衝撃波装置を設計・作成のための共同研究団体・メーカー選定をJAXAと協議の上進めて行く。 大型ESWLを用いて衝撃波測定の基礎研究を積み重ねる。 データを名古屋工業大学・東北大学の共同研究者とシェアし、宇宙空間での測定法を協議していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬や動物を無駄なく発注した結果、当初予算より若干節約ができた。次年度(最終年度)使用額として、よりよい結果を残していきたい。
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