研究課題
宇宙空間では、微小重力の影響で骨・筋への負荷が低下することで骨吸収・筋力低下がが生じることが課題となっている。さらに骨吸収の亢進に伴い、尿中カルシウム排泄の増加によって尿路結石形成リスクが増大すると考えられている。私たちは、骨吸収阻害剤ビスホスホネートが微小重量による骨密度の低下と結石形成を予防することを、日本宇宙航空研究機構(JAXA)との共同研究にて証明した。しかしこれまでに宇宙空間で形成された尿路結石に対する外科的治療法が検討されたことはない。本研究では、小型化体外衝撃波結石破砕装置 (compact ESWL)を用い、宇宙空間での尿路結石手術を確立し、この成果を地球上での新たな手術療法として発展させることを目指す。compact ESWLの開発に向け腱膜炎治療用衝撃波装置Ariesを用い、まずは結石破砕実験 (地上実験)を行う予定であったが、同機種は衝撃波収束能がなく予定通りの研究は困難となった。このためまずは患者治療用のESWL機器 Gemini(Dornier MedTech)の衝撃波調整シミュレーターを用いたモデルストーン(炭酸カルシウム)の破砕実験環境を構築し、東北大学・名古屋工業大学との共同研究を構築しハイドロフォンによる衝撃波強度モデルの確立を行ってきた。本年はcompact ESWLの開発に本格的に協議を進める方針であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で他施設との共同研究を深めることが艱難な時期が続いた。その間、モデル結石を用いた測定環境の構築を進め、ハイロドフォンを用いた測定データと結石モデル破砕データの相互関係を調査中である。さらに、共同研究を通じてより尿路結石に近いシュウ酸カルシウムと有機物を混合したモデル結石が完成しつつあり、今後ESWLでの砕石シミュレーションを行っていく。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
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