研究実績の概要 |
脊髄損傷マウス(SCI)の下部尿路機能障害に対する新規ウイルスベクターを用いた治療薬の開発を目的として実験を開始した。本研究はSCIを下部尿路機能障害モデル動物として使用し、下部尿路機能障害に関連する分子マーカーを同定した上で新規ウイルスベクターを用いて治療法として有用性があるかを検討することが目的である。特にレーザーキャプチャー法(Laser Microdissection (LMD)法)にて膀胱求心路の後根神経根 (Dorsal Root Ganglion; DRG)での局所的(膀胱求心神経のみ)遺伝子発現量の解析を行うことでSCIでの排尿筋過活動の原因遺伝子を特定し、原因遺伝子のプロモーターをターゲットとした新規治療薬の開発の可能性を検討することを目的とした。2018年度はDRGでの受容体の膀胱求心性細胞をLaser Microdissection (LMD:レーザーキャプチャー法)で解析をした。DRG:L6、L1摘出前1週間にFast Blue(FB;鋭敏な逆行性蛍光色素)を膀胱壁に注射しておき、DRGはLMD に供するまで、OCT コンパウンドに包埋して-80℃で凍結保存した。-80℃で凍結保存された組織をクリオスタットで10μmの厚さに薄切し、フォイル付スライドガラス(PEN slide)に貼り付けた。LMD6000(Leica Microsystems)を用いてレーザー光を利用して、組織切片上のFBで発色した目的細胞のみを光学顕微鏡下でレーザーによって切り取り、採取した。Cells DirectTMを用いてreal time PCRを行った。DRGの局所的遺伝子発現量の解析を行った結果、SCIでTRPV1, TRPC1,TRPC3,TRPC6が治療に有効なターゲットである可能性があることが分かった。
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