ビタミンDサプリメントの子宮内膜患者の症状・病巣に対する効果の検討について 東京大学医学部附属病院に通院している子宮内膜症患者を対象として同意のもと研究を行った。薬物治療中の患者も含むが、治療開始から3か月以上経過していることを条件とした。同意を得られた患者にビタミンD錠(ビタミンD3、1000IU/錠)を無償で提供し、1日1錠を連日内服させた。投与前に血清25(OH)D値・CA125などの腫瘍マーカー値・カルシウム値などを測定した。ビタミンDは日光により皮膚で合成され、食事から摂取もされ体内に貯蔵されるため、ライフスタイルや食生活によって貯蔵されるビタミンD量は変動する。そのため食事内容・サプリメント摂取の有無・日中の外出時間等を詳細に聴取し、日々の生活から貯蔵されるビタミンD量を把握する。食事内容についてはBDHQ(簡易型自記式食事歴法質問票:brief-type self-administered diet history questionnaire)を用いて調査した。子宮内膜症の症状として、月経困難症・慢性骨盤痛・排便痛・性交痛の程度を、VAS (Visual Analogue Scale) を用いて、鎮痛薬の使用回数とともに問診した。子宮内膜症の病巣は、経腟超音波断層法とMRIを用いて大きさを測定した。
研究参加に同意を得た患者から順次開始し、3か月程度の観察期間の後、全例が1年間のビタミンD錠の内服を終えた時点で解析を行った。 また、子宮内膜症患者の血清25(OH)D値と比較検討するために、30名の生殖可能年齢の健常女性から同意を得て、採血検査を施行し、血清25(OH)D値を測定した。
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