研究課題/領域番号 |
18K16763
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山田 しず佳 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (40792643)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / ホルモン療法 / FES-PET |
研究実績の概要 |
FES(16α-[18F]18Ffluoro-17β-estradiol)-PET検査は生体内で機能しているエストロゲン受容体やプロゲステロン受容体を非侵襲的に検出することができる。メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)を用いたホルモン療法は妊娠を希望する子宮内膜異型増殖症や早期子宮体癌患者にとっての唯一の妊孕性温存療法であるが、治療効果判定のための侵襲的な子宮内膜操作が頻回に必要になることから、自然妊娠率が低いことや治療中や治療後早期に約4割が増悪・再発 することが問題になっている。 若年早期子宮体癌症例において、MPA治療前後でFES-PET検査を施行した。FESの集積は平均SUV(standardized uptake value)を用いて評価し、治療前後での集積を比較した。完全奏功を示した2症例の子宮内膜のFES-SUVの低下率は44.2%, 46.2%であり、子宮筋層と比較して集積が同等に低下した。一方、病変が残存した症例は子宮内膜のFES-SUVの低下率は22.5%であり、子宮筋層と比較しても集積が残存した。この結果から、FES-PET 検査で非侵襲的に治療効果判定がおこなえる可能性が示唆された。 また、治療前にFDG(18F-fluorodeoxyglucose)-PETおよびFES-PETを撮像した症例での検討では、病変が残存もしくは再発した症例において、有意差をもってFDG-SUV/FES-SUV比が高かった。 以上より、子宮内膜異型増殖症や早期子宮体癌における妊孕性温存ホルモン療法において、FES-PETが非侵襲的な治療効果判定や治療抵抗性予測に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の研究実績に関し、論文を作成し、Clinical Nuclear Medicineに掲載された。抵抗性細胞の作製には難渋している。
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今後の研究の推進方策 |
抵抗性細胞の作製ができない場合は、既存の子宮体癌細胞株でのホルモン受容体発現を確認し、MPA投与によるホルモン受容体発現変化と腫瘍抑制効果に相関があるかの研究をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
治療抵抗性細胞作製に難渋しており、研究が遅れているために次年度使用額が生じている。2020年度は既存の子宮体癌細胞株でのホルモン受容体発現を確認し、MPA投与によるホルモン受容体発現変化と腫瘍抑制効果との相関をみていく研究に使用する予定である。
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