若年の子宮内膜異型増殖症や早期子宮体癌患者にとって、唯一の妊孕性温存療法として、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)を用いたホルモン療法があるが、治療効果判定のための侵襲的な子宮内膜操作が頻回に必要になることから、自然妊娠率が低いこと、さらに治療中や治療後早期に約4割が増悪・再発することが問題になっている。 FES(16α-[18F]18Ffluoro-17β-estradiol)はエストラジオールに放射性フッ素を付加した放射性薬剤で、PET検査を用いて、生体内で機能しているエストロゲン受容体を非侵襲的に検出することができる。本研究では、ホルモン療法前後での腫瘍のFES集積変化が治療効果と相関し、治療効果判定の用いることができるかどうかを明らかにすることを目的とした。 本年度は、より腫瘍を同定しやすくなるように同時期に撮像したMRIとPET画像を融合できるPET/MRで撮像した2症例を解析した。治療開始前と8週間後にFES PET/MRを撮像し、治療後に病変が消失した症例ではFES集積の低下率が60.4%であったの対し、治療後に病変が残存した症例では6.4%であり、前年度までの解析結果と同様に、病変が残存する症例では、FES集積の低下率が小さく、集積が残存するということがわかった。 症例数は少ないが、本研究を通して、若年子宮体癌に対する妊孕性温存ホルモン療法において、腫瘍のFES集積変化が治療効果と相関する傾向にあることがわかり、FES PET検査により治療抵抗性症例を早期に発見したり、非侵襲的な治療効果判定へ代用できる可能性が示唆された。
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