種々の細胞ストレスがSG形成およびUBAP2L発現の関連性およびそれらの子宮頸癌オカルト転移の形成・維持に果たす役割を解明するためにSG(ストレス顆粒)形成およびUBAP2L発現と薬物療法との関連を細胞染色によって検討した。子宮頸癌細胞株であるCaskiとSiha、及びそれらのシスプラチン耐性細胞株を用いて、シスプラチン添加によるSG形成およびUBAP2L発現を細胞染色により評価した。その結果いずれの親株においてもシスプラチン添加によりSG形成およびUBAP2L発現を確認した。一方でシスプラチン耐性細胞株においては、SG形成およびUBAP2L発現を認めなかった。これによりシスプラチン暴露により抵抗性を獲得した子宮頸癌細胞ではシスプラチンによるストレスへの抵抗性が生じている可能性が示唆された。 続いてSG形成およびUBAP2L発現のEMT促進、薬剤・放射線耐性維持機構を解明するため放射線照射により子宮頸癌細胞の悪性化が生じるかを検討しEMTマーカー発現、VEGF分泌に関して検証した。その結果放射線照射に伴い子宮頸癌細胞からのVEGF分泌は亢進し代表的EMTマーカーの一つであるE-cadherinの減少を認めた。放射線照射により、子宮頸癌細胞の悪性化が一部促進されることが判明した。 SG形成およびUBAP2L発現が免疫回避に及ぼす影響を探求するために、進行子宮頸癌の患者由来組織を使用したex vivo実験モデルを構築することを目的に子宮頸癌の手術検体から腫瘍組織を抽出し、細断した組織片をスポンジ上に載せ、シスプラチンを添加しアポトーシスの割合を評価した。その結果、シスプラチンを添加した組織片において、Cleaved-caspase 3の発現割合が高くなる傾向が見られた。今後これらの実験系を用いて、更なる子宮頸癌の治療抵抗性に関与する種々の治療抵抗性獲得機構を追求していく。
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