研究課題
ホルモン補充療法(hormone replacement therapy, HRT)はエストロゲン欠乏に起因する更年期症状の緩和や骨粗鬆症のリスク低下等の目的で用いられる。閉経後女性では同年齢の男性に比し動脈硬化を含む心血管疾患の発症率が高く、閉経後女性での血中エストロゲンは男性よりも有意に低いことからエストロゲンの動脈硬化保護作用が示唆されてきたが、2002年の大規模臨床試験の報告以降HRTの有用性、適応、投与方法に関する従来の概念を根本から再検討する必要が生じている。問題点のひとつとして、これまでの臨床試験でのHRTでは、エストロゲンとして結合型エストロゲン(CEE)が漫然と使用されてきたことが挙げられる。エストロゲンとして使用されるCEEにはヒトに存在しないエクイリン(Eq)等が含まれる。ヒトにおいて最も活性の高いエストラジオール (E2)が動脈硬化保護作用を持つことはある程度のコンセンサスが得られている一方で、他のエストロゲンについての動脈硬化リスクに対する影響については検討がなされていないのが現状である。しかし、研究手法の困難さから、ステロイドホルモンの血管内皮への影響を検討した基礎的研究はごく限られており、いまだ一定の見解が得られていない。動脈硬化発症の初期段階では血管内皮への接着分子を介した単球接着が引き金となる。われわれは単球の血管内皮への接着反応を検証しうるflow chamber systemを確立させている。本年度では、各種Eについてこれまでと同様の方法で検証した。その結果、E1やE2と異なりEqがHUVECにおける接着分子発現および単球接着を増加させることを見出した。さらに詳細に検討したところ、EqはERβの発現を低下させ、NF-κB活性化経路を介することで接着分子発現および単球接着数を上昇させることがin vitroで明らかになった。
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