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2020 年度 実績報告書

3次元がん幹細胞培養系を用いた、卵巣がん腹膜播種促進メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K16786
研究機関新潟大学

研究代表者

山脇 芳  新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90650622)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード卵巣がん / がん幹細胞 / 腹膜播種 / 治療抵抗性
研究実績の概要

樹立した腹水由来卵巣がんスフェロイド細胞を用いたRNAシーケンスによる網羅的遺伝子発現解析の結果、がん幹細胞のプラチナ製剤に対する治療抵抗性獲得と腹膜播種能に寄与する分子として、ペントースリン酸経路に関連する一群の酵素を同定する事に成功した。樹立した全細胞を対象とし、シスプラチン奏効性(IC50)とペントースリン酸経路に関連する酵素群のRNAシーケンスによる遺伝子発現レベルを検証した所、多くの酵素において両者の間に有意な相関が認められた。とりわけ、ペントースリン酸回路の律速酵素であるグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)が抵抗群において顕著に上昇しており、G6PDのがん幹細胞の治療抵抗性との関係が示唆された。
次に、G6PDのシスプラチン抵抗性における役割を調べる目的で、G6PD阻害剤を用いた機能的検証を行った。G6PD阻害により、スフェロイド細胞のシスプラチン抵抗性は抑制され、両者の協調的な阻害効果が認められた。さらに、G6PD阻害により、シスプラチンによるマウス腹膜播種巣への阻害効果が増強することを見出した。
現在、G6PD阻害によるシスプラチン抑制メカニズムを検証中であるが、抵抗性細胞でみとめられる総グルタチオンおよび還元型グルタチオン濃度の上昇が、阻害剤により抑制される事より、グルタチオン機能とシスプラチン抵抗性との関連が示唆されている。
以上の結果より、卵巣がん幹細胞は、G6PDの発現によりグルタチオン機能を活性化させることにより、治療抵抗性を獲得していると考えられた。

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公開日: 2021-12-27  

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