研究課題/領域番号 |
18K16791
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西田 晴香 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80816330)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | DDS / ナノミセル / ナノバブル / 抗腫瘍効果 |
研究実績の概要 |
安全性の高い抗がん剤として子宮頚癌の発症原因であるHPVを標的としたsiRNA技術とナノテクノロジー技術を組み合わせた新規薬剤を開発する。JPVのがん遺伝 子であるE6,E7をターゲットとしたsiRNAを高分子ナノミセルによるDDSに内包させ、静脈投与で効果的に腫瘍にsiRNAを運搬する技術を用いた。このDDSを用い、 既に自身でin vitro,in vivoで抗腫瘍効果を証明したsiRNA内包型なのミセルを使用し、子宮頚癌を自然発生するトランスジェニックマウスでの効果確認を行っ たうえでヒトへの実用に向けた基礎研究を行う。 抗腫瘍効果を認めた我々が開発した薬剤をエストロゲンの持続刺激により16型E6/E7を恒常的に発現し子宮頸部に異形成から初期癌・進行癌へと子宮頚癌の自然 発癌と同様の経過をたどってde novoに発癌するトランスジェニックマウス(K14-HPV16トランスジェニックマウス)に応用する。また、同様に、siRNAを内包した DDSを使用して、超音波刺激で腫瘍内にsiRNAを運搬し抗腫瘍効果をもたらすnanobabbleに関しても、基礎的な実験中である。コロナ感染によりトランスジェニッ クマウスの胚の輸入が現時点では困難となり、vivoの実験進行が難航している状況であったため、ナノミセルを波及させたナノバブル(リピッドバブル)の研究を進行させた。 リピッドバブルを担癌マウスに静注し、腫瘍の部位に超音波を当て、バブルを破砕させると、腫瘍近位の血管透過性が亢進し、その直後に抗がん剤を静注すると、腫瘍に特異的に抗がん剤が集積し、抗腫瘍効果が高まることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来の、ナノミセルへのトランスジェニックマウスへの応用は困難になったが、ナノバブルに応用することで、vivoでの異なる方法での抗腫瘍効果の発現を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ナノバブルにつき、抗がん剤投与に関しては腫瘍特異的に抗腫瘍効果を発現させることがわかった。今後は、放射線化学療法での治療において、ナノバブルが有効なのかどうかを解析する。また、子宮頸癌や卵巣癌のオルガノイドを作成し(できれば血流のあるモデル)、オルガノイドでのナノミセルやナノバブルの抗腫瘍効果の評価を行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ナノバブルの放射線化学療法での抗腫瘍効果を解析するために、再度マウスの購入及び飼育にあたっての費用が必要となる。また、オルガノイド作成においても、培養液などの費用や維持費が必要となる。ナノバブルやナノミセルを作成するにあたってもsiRNAの購入や抗がん剤の購入が必要となる。
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