分子状水素の母獣投与により、炎症性早産仔の脳障害を軽減する可能性を示唆する結果を蓄積してきたが、本研究ではまず分子状水素の胎児への影響として催奇形性や発育を評価したが、明らかな有害事象は認めなかった。また胎内炎症曝露により出生した新生仔脳では、ミクログリアCD11c発現が減弱し、髄鞘形成が低下していることが分かった。さらに臨床検体での検討からも、絨毛膜羊膜炎により粗大な脳構造変化や発達指数への影響は少ない一方、淡蒼球・側坐核における脳容積の減少を認め、早産児の将来的な自閉症スペクトラム障害や統合失調症のリスク上昇との関連が示唆された。今後分子状水素のさらなる有用性を検討することが重要である。
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