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2019 年度 実施状況報告書

子宮腺筋症不妊に対するPDE5阻害薬の効果と酸化ストレスへの影響

研究課題

研究課題/領域番号 18K16797
研究機関三重大学

研究代表者

前沢 忠志  三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50740445)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード子宮腺筋症モデル / SHNマウス / 下垂体移植 / Tadalafil / 嚥下
研究実績の概要

不妊患者は年々増加し高齢化している中、不妊要因の中でも子宮腺筋症の発症は妊娠率や妊娠継続率を低下させることが知られている。我々は腺筋症の子宮筋層部位での血流改善による内膜の肥厚化に伴う妊娠率と妊娠継続率の上昇を目的に、血流改善効果が報告されているPDE5阻害薬に着目し検討した。本研究では、腺筋症モデルマウスの作成手法を確立し、ホスホジエステラーゼ(phosphodiesterase、PDE)5阻害薬の投与による子宮筋層の血流改善、血管新生・増減の評価を行い、その原因としての酸化ストレスとの関係を解析する。
2019年度は、再度分与された腺筋症モデルのSHN系マウスの繁殖のために半年を必要とした。実験供試個体を確保できたため、腺筋症の自然発症時期を確認した。
12週以降、2週おきに30週まで確認したが、平均して約25週で腺筋症を発症する事が確認できた。しかしながら、発症時には殆どの個体で形態的に明らかな腫瘍の形成が認められ、発症部位が子宮に起因しているケースが多かった。腺筋症の治療後に妊娠させる事を計画しているため、腫瘍形成よりも前に、腺筋症の発症誘発が必要と考えられた。
加えて、PDE5阻害薬Tadalafilの投与についても検討した所、自由引水では外れ値を示す個体が認められ、脱落率も約4割に達した。現在は嚥下投与法を試みており、再度cGMP値の測定を実施して、手法を確立する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

昨年度に子宮腺筋症自然発症モデルマウスであるSHN系マウスの個体維持が不可能になるというアクシデントに見舞われたが、昨年新たに分与されたマウスを繁殖した。しかしながら他の系統のマウスと比較して不妊になる確率が高く飼育が難しい事もあり、実験に供試できる個体数が限られる。また腺筋症の自然発症についても、平均して25週以降と時間が必要である。
以上の問題を解決すべく、現在更なる繁殖に取り組むと共に、雄マウス下垂体を使用した強制的な腺筋症作成の手法にも取り組んでおり、本手法により9-10週で腺筋症が発症する事を確認した。今後は腺筋症部位の更なる解析に取り組むと共に、Tadalafilについても投与を開始する予定である。

今後の研究の推進方策

2020年度は、実験期間の短縮のため、平均で10週程で子宮腺筋症を発症する下垂体移植法の手技を確立し、腺筋症部位の確認を実施する。またtadalafilの投与法についても、自由引水による投与法では、尿中のcGMP値の変動が大きい事から、嚥下投与法への変更を予定しており、併せて検討を実施する。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 当院のがん患者に対する卵巣組織凍結保存2020

    • 著者名/発表者名
      前沢忠志、武内大輝、阪本美登、寺田堅斗、赤阪未来、池田智明
    • 雑誌名

      日本がん・生殖医療学会誌

      巻: 3 ページ: 48-51

  • [雑誌論文] 多脾症候群、心奇形の術後における進行性の貧血の症例に対して、体外受精により妊娠・出産に至った1例2019

    • 著者名/発表者名
      前沢 忠志, 赤阪 未来, 真川 祥一, 二井 理文, 西岡 美喜子, 武内 大輝, 田中 博明, 池田 智明
    • 雑誌名

      日本受精着床学会雑誌

      巻: 36 ページ: 317-323

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 当院での卵巣組織凍結保存の実際2019

    • 著者名/発表者名
      前沢 忠志, 武内 大輝, 阪本 美登, 道端 肇, 北野 裕子, 福井 愛実, 二井 理文, 渡邉 純子, 西岡 美喜子, 池田 智明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • [学会発表] ホルモン補充周期における凍結融解胚盤胞移植決定時の血中エストラジオール値は臨床的妊娠率に影響するか2019

    • 著者名/発表者名
      道端 肇, 西岡 美喜子, 福井 愛美, 阪本 美登, 北野 裕子, 渡邉 純子, 武内 大輝, 前沢 忠志, 池田 智明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • [学会発表] 胚移植反復不成功患者に対するERA・EMMA・ALICE検査の有用性2019

    • 著者名/発表者名
      渡邉 純子, 前沢 忠志, 西岡 美喜子, 北野 裕子, 道端 肇, 阪本 美登, 武内 大輝, 福井 愛実, 池田 智明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • [学会発表] 当センターにおける凍結用ラベルの問題点および改善に向けた取り組み2019

    • 著者名/発表者名
      吉川 堅斗, 武内 大輝, 前沢 忠志, 西岡 美喜子, 北野 裕子, 渡邉 純子, 道端 肇, 阪本 美登, 福井 愛実, 池田 智明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • [学会発表] PDE5阻害薬(Tadalafil)による乏精子症モデルマウスの精液所見改善効果2019

    • 著者名/発表者名
      加藤 学, 武内 大輝, 前沢 忠志, 神田 英輝, 池田 智明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • [学会発表] 当院におけるアンタゴニスト製剤を用いた排卵抑制効果の検討2019

    • 著者名/発表者名
      福井 愛実, 武内 大輝, 前沢 忠志, 西岡 美喜子, 北野 裕子, 渡邉 純子, 道端 肇, 阪本 美登, 吉川 堅斗, 池田 智明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • [学会発表] 卵巣広汎性浮腫合併不妊に体外受精・胚移植を行った一例2019

    • 著者名/発表者名
      西岡 美喜子, 前沢 忠志, 阪本 美登, 道端 肇, 渡邉 純子, 北野 裕子, 武内 大輝, 池田 智明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • [学会発表] DifinedでXeno-freeな新規ヒト精子凍結保存液の開発2019

    • 著者名/発表者名
      武内 大輝, 西岡 美喜子, 前沢 忠志, 福井 愛実, 吉川 堅斗, 北野 裕子, 池田 智明
    • 学会等名
      第64回日本生殖医学会学術講演会・総会
  • [学会発表] 当センターのIVF実施患者におけるBMIと妊孕性との相関性について2019

    • 著者名/発表者名
      真柄 栄梨, 武内 大輝, 東本 誠也, 前沢 忠志, 西岡 美喜子, 森下 みどり, 池田 智明明
    • 学会等名
      第60回日本卵子学会学術集会
  • [学会発表] 卵巣凍結時に回収した卵子の低侵襲な妊孕性温存療法としての有用性の検討2019

    • 著者名/発表者名
      東本 誠也, 武内 大輝, 前沢 忠志, 西岡 美喜子, 森下 みどり, 真柄 栄梨, 池田 智明
    • 学会等名
      第60回日本卵子学会学術集会
  • [学会発表] 小児生殖における多職種チームでのチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)の役割2019

    • 著者名/発表者名
      山口 伸実, 吉崎 さやか, 西尾 綾子, 前沢 忠志, 平山 淳也, 岩本 彰太郎, 平山 雅浩
    • 学会等名
      第61回日本小児血液・がん学会学術集会
  • [学会発表] PDE5阻害薬(Tadalafil)による乏精子症モデルマウスの精液所見改善効2019

    • 著者名/発表者名
      加藤 学, 武内 大輝, 前沢 忠志, 神田 英輝, 有馬 公伸, 池田 智明, 杉村 芳樹
    • 学会等名
      第107回日本泌尿器科学会総会
  • [学会発表] 子宮頸癌の骨盤内リンパ節再発に対して、発光尿管カテーテルを用いて、安全に腹腔鏡下リンパ節摘出術を施行した一例2019

    • 著者名/発表者名
      金田 倫子, 近藤 英司, 綿重 直樹, 萩元 美季, 榎本 紗也子, 榎本 尚助, 松本 剛史, 古橋 芙美, 真木 晋太郎, 二井 理文, 前田 佳紀, 吉田 健太, 鳥谷部 邦明, 前沢 忠志, 池田 智明
    • 学会等名
      第59回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会
  • [学会発表] EXAMINATION OF THE USEFULNESS OF OOCYTES COLLECTED AT THE TIME OF OVARIAN FREEZING AS A FERTILITY-PRESERVING THERAPY2019

    • 著者名/発表者名
      Morishita Midori; Maezawa Tadashi; Nisioka Mikiko; Ikeda Tomoaki
    • 学会等名
      The 6th World Congress of the International Society for Fertility Preservation
    • 国際学会
  • [学会発表] ONCOLOGIC, OBSTETRIC, AND FERTILITY OUTCOMES OF ABDOMINAL RADICAL TRACHELECTOMY IN OUR INSTITUTE2019

    • 著者名/発表者名
      Enomoto, Naosuke; Kondo, Eiji; Kaneda, Michiko; Nii, Masafumi; Nishioka, Mikiko; Yoshida, Kenta; Maezawa, Tadashi; Ikeda, Tomoaki
    • 学会等名
      The 6th World Congress of the International Society for Fertility Preservation
    • 国際学会
  • [図書] がん患者の妊孕性温存のための診療マニュアル2019

    • 著者名/発表者名
      大須賀 穣 編、前沢 忠志他
    • 総ページ数
      112
    • 出版者
      金原出版
    • ISBN
      9784307301398

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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