研究課題
不妊患者は年々増加し高齢化している中、不妊要因の中でも子宮腺筋症の発症は妊娠率や妊娠継続率を低下させることが知られている。我々は腺筋症の子宮筋層部位での血流改善による内膜の肥厚化に伴う妊娠率と妊娠継続率の上昇を目的に、血流改善効果が報告されているPDE5阻害薬に着目し検討した。本研究では、腺筋症モデルマウスの作成手法を確立し、ホスホジエステラーゼ(phosphodiesterase、PDE)5阻害薬の投与による子宮筋層の血流改善、血管新生・増減の評価を行い、その原因としての酸化ストレスとの関係を解析する。2020年度は、腺筋症モデルのSHN系を使用して、腺筋症の発症期間を短縮するために、下垂体移植法を実施した。一部の個体で9-10週で腺筋症が発症する事を確認したが、複数回と実験回数を増やして検討した所、腺筋症の発症は自然発症と同時期の25週であった。Tadalafilの投与法についても自由引水と嚥下法を比較した所、脱落率が共に3割程と違いが認められなかった。
4: 遅れている
下垂体移植法による腺筋症発症時期の短縮化が不可能である事が判明した。Tadalafil投与法についても自由引水と嚥下法を比較した所、脱落率が共に3割程と違いが認められなかった。後半からは臨床業務が忙しく、研究時間を確保できず、研究を進められなかった。
下垂体移植法による腺筋症発症時期の短縮化が不可能であったこと、SHNマウスは繁殖が難しい事から、ICRによるタモキシフェン投与法での腺筋症モデル作成を現在検討している。タモキシフェン投与法についても投与量を大幅に増加したところ、8週齢での腺筋症の発症を確認した(n=1)。今後はICRマウスでのタモキシフェン投与による腺筋症モデルを構築し、自由引水によるTadalafil投与が腺筋症に与える影響を解析する。
理由:2020年度後半に、臨床業務が忙しく研究時間を取れなかったため使用計画:次年度に行う、腺筋症モデルマウス実験に使用する予定である。
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日本受精着床学会雑誌
巻: 38(1) ページ: 106-111