研究課題/領域番号 |
18K16799
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長又 哲史 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (50816642)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | human herpesvirus 6 / HHV6 / 不育症 / 習慣流産 / 不妊症 |
研究実績の概要 |
Human herpesvirus 6(HHV6)のU67領域におけるプライマーおよびTaqManプローブを購入し、院内共同研究施設における機械を使用。ポジティブコントロールとしてU67領域を挿入したプラスミドを作成。本研究室において初めて、HHV6におけるTaqMan probeを用いたリアルタイムPCRの方法を確立した。この方法では、HHV-6A、HHV-6Bともに検出が可能である。当院に通院している不育症患者や入院中の切迫早産患者、コントロール患者から採取した子宮内膜検体、脱落膜検体、羊水検体、腟分泌液検体を用いて、HHV-6存在の有無について検討した。子宮内膜検体は不育症と診断された非妊娠患者から採取し、脱落膜検体は自然流産患者から採取した。羊水検体と腟分泌液検体は、切迫早産患者や、もしくはコントロール群として当院入院管理中の妊娠女性から採取した。各検体からkitを用いてDNAを抽出し、リアルタイムPCRを行いHHV-6 DNAの有無について検討した。採取した検体の内訳は、子宮内膜検体(n=24)、脱落膜検体(n=2)、羊水検体(n=8)、腟分泌液検体(n=71)であった。そのうち原因不明不育症検体は12例であった。結果としては、不育症患者における子宮内膜検体からHHV-6 DNAは検出されなかった。HHV-6 DNAは羊水検体から1例(12.5%)、腟分泌液検体からは2例(2.8%)検出された。羊水検体からのHHV6ウイルスコピー数は非常に少なく、臨床的意義は少ないと考えられた。腟分泌液検体からのHHV6 DNAコピー数は十分であったが、2.8%という検出率は過去の論文と同様の割合であった。現時点ではHHV-6と不育症患者との関連性は認めていないが、さらに検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体採取から、HHV6 DNA有無の検討方法までを確立し、解析を行っている。不育症患者自体が少数のため検体は少ないが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
不育症患者だけでなく、可能であれば近辺の不妊施設とも協力し、着床不全や慢性子宮内膜炎と診断されている不妊症患者の子宮内膜検体を用いて、HHV6有無の検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より検体数が少なく、また消耗品や備品なども現時点では自施設のものを使用できているため。翌年度、引き続き試薬の購入や、産婦人科検体におけるHHV6の測定を行っていく予定である。
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