研究課題/領域番号 |
18K16800
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
原 友美 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60793502)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | キスペプチン / ゴナドトロピン / GnRH |
研究実績の概要 |
【目的】抗ミュラー菅ホルモン(AMH)がゴナドトロピン産生にどの様な影響を与えるのか検討することを目的とした。 【方法】下垂体ゴナドトロピン産生LbetaT2細胞を用いて、AMHがゴナドトロピン産生に与える影響について調べた。AMH刺激によるゴナドトロピンサブユニット発現を定量PCRで測定した。LbetaT2細胞に発現するキスペプチン遺伝子(Kiss-1)及びキスペプチン受容体(Kiss1R)とAMHとの関係及びゴナドトロピン産生への関与について併せて検討した。 【結果】ゴナドトローフLbetaT2細胞においてAMH刺激はFSHbetaサブユニット発現を有意に増加させたが、alpha、LHbetaサブユニット発現は変化しなかった。AMHはLbetaT2細胞内に存在するKiss-1発現とKiss1Rの発現を有意に減少させた。siRNAを用いてLbetaT2細胞内のKiss-1発現をノックダウンしてもゴナドトロピンサブユニット発現量に変化はなかったKiss1R発現ベクターを導入したLbetaT2細胞をキスペプチンで刺激するとすべてのゴナドトロピンサブユニット発現は増加したが、AMHとの同時刺激ではキスペプチンによる刺激効果はほぼ抑制された。GnRHによるゴナドトロピンサブユニット発現はAMHとの同時刺激でも変化は認められなかった。 【結語】AMHは単独で下垂体FSHbetaサブユニットを増加させ、同時にゴナドトロピン産生細胞内のKiss-1およびKiss1R発現を減少させた。AMHはゴナドトロピン産生細胞内のKiss1R発現及び受容体機能を抑制することで、キスペプチン刺激によるゴナドトロピン発現を抑制的に制御している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キスペプチン及びキスペプチン受容体の末梢組織における機能解析のひとつとして、下垂体ゴナドトロピン産生細胞における役割について検討している。本研究では卵巣局所因子として知られるAMHが、ゴナドトロピン産生細胞においてFSH産生に作用している事と、同細胞におけるキスペプチン/キスペプチン受容体発現に抑制的に作用するしていることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
下垂体ゴナドトロピン合成、分泌は視床下部GnRHにより一元的に支配されているようにみえるが、実は様々な視床下部因子や卵巣因子の影響を受けている。引き続き下垂体ゴナドトロピン制御機構の詳細を解明していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で予定していた学会発表などの機会が失われ、結果的に次年度使用額が生じた。本年度は本研究の最終年度であるから消耗品の購入等、有効に使用する予定である。
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