研究課題/領域番号 |
18K16802
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
梶邑 匠彌 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20780779)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | CBR1 / クロフィブレート / 上皮間葉転換 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに、子宮体癌、子宮頸癌においてcarbonyl reductase 1 (CBR1) の発現が低下している症例では有意に予後が不良である事を報告した。また子宮頸癌細胞株でCBR1 の発現を抑制させるとE-cadherin の発現が減少し、上皮間葉転換(EMT) が誘導され癌の浸潤、増殖能が亢進すること、逆にCBR1 を過剰発現させた子宮頸癌細胞ではE-cadherin の発現が増加し、EMT と逆の間葉上皮転換(MET) が誘導され、浸潤、増殖能が抑制されることを見出した。本研究では、転写因子であるperoxisome proliferator-activated receptorα (PPARα) の活性化剤であるクロフィブレート製剤の投与により、CBR1 の発現を増加させることができるか、そして、それによりMET が誘導され、癌細胞の腫瘍増殖能、浸潤能、腫瘍形成能を抑制させることができるかをin vitro 及びin vivo にて検討する。 まず、クロフィブリン酸を子宮頸部扁平上皮細胞株SiHaもしくはSKGIIに500μg/ml あるいは1mg/mlで投与した。24時間~96時間の各時間でこれを回収し、まずCBR1が増加するかをRT-PCRで確認した。各群間で発現量に有意差を見出せなかった。また同様に抽出した細胞からタンパクを抽出し、Western blot法でCBR1の発現を解析したが、RNA同様に各群でタンパク発現に関しても有意差を見出せなかった。 これにはクロフィブレートの活性部位が実際にCBR1発現に関与している可能性があるため、クロフィブリン酸の代わりに、クロフィブレートを使用し、同様の実験を行う予定である。またその他の物質でCBR1発現を促進する可能性のある物質を探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々はこれまでに、子宮体癌、子宮頸癌においてcarbonyl reductase 1 (CBR1) の発現が低下している症例では有意に予後が不良である事を報告した。また子宮頸癌細胞株でCBR1 の発現を抑制させるとE-cadherin の発現が減少し、上皮間葉転換(EMT) が誘導され癌の浸潤、増殖能が亢進すること、逆にCBR1 を過剰発現させた子宮頸癌細胞ではE-cadherin の発現が増加し、EMT と逆の間葉上皮転換(MET) が誘導され、浸潤、増殖能が抑制されることを見出した。本研究では、転写因子であるperoxisome proliferator-activated receptorα (PPARα) の活性化剤であるクロフィブレート製剤の投与により、CBR1 の発現を増加させることができるか、そして、それによりMET が誘導され、癌細胞の腫瘍増殖能、浸潤能、腫瘍形成能を抑制させることができるかをin vitro 及びin vivo にて検討する。 まず、クロフィブリン酸を子宮頸部扁平上皮細胞株SiHaもしくはSKGIIに500μg/ml あるいは1mg/mlで投与した。24時間~96時間の各時間でこれを回収し、まずCBR1が増加するかをRT-PCRで確認した。各群間で発現量に有意差を見出せなかった。また同様に抽出した細胞からタンパクを抽出し、Western blot法でCBR1の発現を解析したが、RNA同様に各群でタンパク発現に関しても有意差を見出せなかった。
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今後の研究の推進方策 |
クロフィブリン酸の投与にもかかわらず、CBR1発現が変化しなかったのは、クロフィブレートの活性部位が実際にCBR1発現に関与している可能性がある。このためクロフィブリン酸の代わりに、クロフィブレートを使用し、同様の実験を行う予定である。またその他の物質でCBR1発現を促進する可能性のある物質を探索中である。もし発現の上昇が確認できた場合は当初の予定通り、in vivoでのCBR1発現を確認し、さらにEMT関連分子の発現態度の変化や、細胞増殖などの悪性の性質の変化など機能解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画に比べ、実験の進捗がやや遅れている。これは、当初予想したクロフィブリン酸によるCBR1発現のコントロールがうまくいかなかったことによる。このため、予定実験が進まず、次年度使用額が生じた。 各項目の金額をそもそも予定していた実験に振り分け研究を進捗させていく。
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