研究課題/領域番号 |
18K16807
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉原 紘行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (30812094)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 不育症 / 胎児染色体異数性 / 遺伝子多型解析 / ゲノムワイド関連解析 |
研究実績の概要 |
胎児染色体異数性の関連遺伝子を同定することにより、不育症のrisk alleleが見つかることが予測される。「流産しやすい体質」についての遺伝カウンセリングを提供することができる。これらのrisk alleleは、40歳代では40%が流産に罹患すると言われる中で、出産可能な女性を区別することが予測される。流産しやすい体質だと分かれば早めの出産を検討するなど、流産リスクを知ることにより、女性がライフプランを考えるためのbiomarkerとして貢献する波及効果が期待できる。 加齢により停止期が長いほど染色体数的異常が増加し、体細胞分裂では1%以下の染色体分配エラーが卵母細胞では10-30%起こる。その原因として、染色体接着を制御する減数分裂に関わるコヒーシンが加齢とともに減少することが分かってきた。 減数分裂コヒーシン蛋白を構成する遺伝子STAG3など減数分裂特異的遺伝子について遺伝子多型解析を行ったが、有意なSNPsを認めず網羅的な解析を行うことにした。 胎児染色体異数性不育症患者192人を対象として、東芝「ジャポニカアレイ」を用いて、日本人の特徴的な66万か所のSNPsのタイピングを行った。 国立国際医療研究センターゲノム医科学プロジェクトにおいて、SNP call rate>=95%, minor allele frequency>=5%, Hardy-Weinberg Equilibrium p>=0.001 などのクオリティコントロールを行う。通過したSNPsについて日本人1157人のリファレンスとχ二乗検定を行う。GWAS有意水準に到達するSNPsは認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大と緊急事態宣言などによって国立国際医療研究センターでのゲノムワイド関連解析ができない時期があり、解析が大幅に遅れた。そして、その結果もGWAS有意水準に到達するSNPsは認めないというものであった。リファレンスが男性を含めて1157人、女性392人と人数が少ないことが影響しているものと考えられた。そこで、さらにリファレンスの数を増やしてゲノムワイド関連解析を行うとともに、インピュテーション解析を行う必要が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
東北メディカル・メガバンクの日本人2万人のリファレンスを用いてゲノムワイド関連解析を行う。また、東北メディカル・メガバンクのインピュテーションサービスを利用して、患者のタイピングデータについてもimputation解析を行いGWAS有意水準に到達するSNPsを見出す。また、ケース分類による解析についても行う。 有意水準に到達したSNPsについて、独立なサンプル群における再現性を確認する。マーカーSNPと連鎖不平衡にあるSNPの検討により、第一義的な疾患関連遺伝子を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大によって国立国際医療研究センターでのゲノムワイド関連解析が大幅に遅れた。そして、その結果もGWAS有意水準に到達するSNPsは認めないというものであった。 さらにリファレンスの数を増やしてゲノムワイド関連解析を行うとともに、インピュテーション解析を行う必要が出てきた。東北メディカル・メガバンクの日本人2万人のリファレンスを用いてゲノムワイド関連解析を行う。また、東北メディカル・メガバンクのインピュテーションサービスを利用して、患者のタイピングデータについてもimputation解析を行う。 有意水準に到達したSNPsについて、独立なサンプル群における再現性を確認する。
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