研究実績の概要 |
加齢により停止期が長いほど染色体数的異常が増加し、体細胞分裂では1%以下の染色体分配エラーが卵母細胞では10-30%起こる。その原因として、染色体接着を制御する減数分裂に関わるコヒーシンが加齢とともに減少することが分かってきた。 減数分裂コヒーシン蛋白を構成する遺伝子STAG3など減数分裂特異的遺伝 子について遺伝子多型解析を行ったが、有意なSNPsを認めず網羅的な解析を行うことにした。 胎児染色体異数性不育症患者192人を対象として、東芝「ジャポニカアレイ」を用いて、日本人の特徴的な66万か所のSNPsのタイピングを行った。国立国際医療研究センターゲノム医科学プロジェクトにおいて、SNP call rate>=95%, minor allele frequency>=5%, Hardy-Weinberg Equilibrium p>=0.001 などのクオリティコントロールを通過したSNPsについて日本人1157人のリファレンスとχ二乗検定を行うも、ゲノムワイド関連解析有意水準に到達するSNPsは認めなかった。 そこで、東北メディカル・メガバンクの日本人2万人のリファレンスを用いてゲノムワイド関連解析を行い、またimputation解析を行った。ゲノムワイド関連解析の有意水準に到達するSNPsについては、別の患者集団を対象として再現性研究を行っていく予定である。ゲノムワイド関連解析とそのメタアナリシスについて、遺伝子単位の関連解析や不育症の遺伝要因が発症に与える因果効果についてメンデルランダム化解析も行うことで,胎児染色体数的異常よる不育症の病態メカニズムを調べる。
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