研究実績の概要 |
子宮内膜症は月経困難症、不妊などによって生殖年齢女性のQOLを損なう疾患である。 子宮内膜症の原因は不明であるが、慢性炎症性疾患であることが知られており、病巣局所で炎症性サイトカインが増加し、炎症性サイトカインによって容量依存的に子宮内膜症が増悪することが知られている。 制御性T細胞(Treg)は免疫応答を抑制するT細胞である。我々はヒトにおいてFoxp3とCD45RAで分画されるactivated Tregこそが真の免疫能を有するという概念に基づき、子宮内膜症におけるその役割を解析したところ、病巣局所ではactivated Tregが減少していることを見出した。本研究ではTregによる免疫異常が子宮内膜症に及ぼす影響を子宮内膜症モデルマウスを用いて検証し、本疾患の免疫学的病態機序を明らかにすることを目的とした。 ジフテリアトキシン(DT)投与時に一時的にTregが減少するFoxp3DTRマウスとコントロールマウスで比較した。Foxp3DTR/DTマウスとコントロールマウスを用いて、子宮内膜症モデルマウスを作成したところ、Tregが減少しているFoxp3DTR/DTマウスでは、子宮内膜症病変の大きさ、重さがコントロールと比較して有意に増加していた。また、Foxp3DTR/DTマウスではeffector T cellやマクロファージが増加し、IL-6, CCL2, VEGF, MIP-1などの炎症性サイトカインが有意に増加していた。これらの結果より、Tregが減少していることで、effector T cellなどの免疫細胞が活性化し、炎症性サイトカインが増加することで、子宮内膜症が悪化したのではないかと考えられた。
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