研究課題/領域番号 |
18K16819
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岡本 直樹 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (80714360)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 卵子・卵巣のアンチエイジング / 卵子の質の改善 / 抗老化サプリメント |
研究実績の概要 |
高齢不妊は老化による卵子の質の低下が主たる原因である。本研究では、抗老化物質として注目されていて、既にサプリメントとして販売されている。Nicotinamide mononucleotide (NMN) 及びNicotinamide riboside(NR)に着目した。今年度は、昨年度に引き続きNMN を用いた検討を継続した。長期の投与試験を再度実施しつつ、関連学会に参加して情報収集に努め、一部現在までに得られた結果を発表した。 NMN 投与試験を再度実施した結果、前回と同様に高齢マウスにおける着床率、産仔獲得率が改善する傾向が得られた。体外受精・胚移植の妊孕性試験と並行して、投与試験に用いたマウスの各臓器(肝臓、脾臓、子宮、甲状腺、皮膚、卵巣)をサンプリング。それぞれ、組織学的解析と遺伝子発現解析に用いる予定。組織学的解析については組織切片を作成するための作業を実施中である。また、動物実験の結果を踏まえて、培養細胞を用いたin vitroでのメカニズム解析を幾つか実施(主に細胞の生存や増殖、エネルギー生産、細胞の炎症シグナルを検討)したが、期待した結果を得るには至らなかった。 NR 投与試験に関しては、NMN 試験の結果を踏まえ、実験計画を修正中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験動物の飼育環境整備などの問題から、動物実験の開始が大幅に遅れ、当初の計画より後ろ倒しになってしまった。それに加えて、長期の投与試験に関して投与方法の適正に疑問が生じている。研究結果を考察するうえで大変需要なポイントなので、再度検討を実施する必要が生じてしまった。そのため解析量の増加と検体の取り直しなど、かなりの時間を要してしまったため。 加えて、予定外の自分の研究環境の変化から今年度の後半は、あまり研究に専念できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは既に得られているサンプルの解析を完了させるべく、それを優先して進めていく。合わせて、これまでに得られたNMNの研究結果を整理し考察する。その過程で浮上した問題点などを追加検討しつつ、NRの実験計画を修正して早いうちにNRの予備試験を実施したい。具体的にはNMNのデータをまとめ、可能であれば完全な形で学会にて発表。また論文作成を進め、投稿に必要な追加検討を実施する。NRは主軸となる動物実験 を早い段階でスタートしたい。それと並行して、組織解析や細胞株を用いたin vitroでのメカニズム解析などを実施して、可能であればNMNのデータと合わせて、学会発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況に記述した通り、必要な解析がまだ残っている。次年度使用額は、そのために必要となると予想される。また、可能であれば実施できていないNRを用いた解析にも着手したと考えている。具体的にはまずNRの長期投与試験のため実験動物を購入。この試験もまた本研究の主軸となるため、使用する動物の数も、かなり多くなる見込み。また、並行して実施予定のin vitro解析に必要な試薬類、特に機能解析には解析キットが多数必要になる見込み。加えて、研究の進捗状況に関わらず、得られた成果を学会及び論文にて発表することを想定して、そのための経費が必要になると考える。
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