研究課題
当初の計画通り、腟マイクロバイオームプロファイルを行い、新たな早産の予防・治療戦略におけるターゲットを同定し、抗菌薬を用いた新規治療法を提唱する段階まで至ることができた。具体的には、切迫早産で入院した未破水妊婦83例を対象として、入院時の腟分泌物を採取した。絨毛膜羊膜炎(CAM)の重症度分類に基づいて、CAM群(Stage II度以上)46例とnon-CAM群(Stage I度以下)37例の2群でケースコントロール研究を行った。腟分泌中のDNAを用いて16S rDNA amplicon sequencingを行い、膣内細菌組成解析を行い、さらにプロファイリングを行う過程で機械学習(Random forest)を用いてCAM関連菌を同定し、新しいスコアリング法を作成し、その有用性も検討した。CAM群のα多様性指数は有意に高かった。Weighted UniFrac距離のPERMANOVA検定では有意差がなかったが、Un-weighted UniFrac距離では有意差があった。Random forestでCAM群と関連の強い上位20菌種を絞り込み、新たなスコアリング法を決定した。そのスコアリング法でハイリスク(PCAM)と判定された群は、有意に妊娠延長期間が短かった(中央値の差:13日)。多変量解析では、ハイリスク群の3歳時の発達障害の頻度は有意に高かった(PCAM: 28%, non-PCAM: 4%)。つまり、この手法によってCAMを予測してターゲットとなる細菌群を治療することで、約2週間の妊娠期間延長を見込めるだけでなく、発達障害の頻度を減らせる可能性を示唆する結果であった。理論的にCAMの90-98%を治療可能と推定される抗菌薬の組み合わせを同定できた。これらの研究結果のメインは現在論文投稿中であるが、次のステップとして特定臨床研究(第二相試験)を計画中である。
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Future Science OA
巻: Published online ページ: FSO686~FSO686
10.2144/fsoa-2021-0006
Reproductive Medicine and Biology
巻: Published online ページ: 1-25
10.21203/rs.3.rs-73125/v1