研究課題/領域番号 |
18K16825
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
佐々木 愛子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期センター, 医師 (60560711)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 同種免疫性疾患 / 母体免疫細胞機能 / 新生児ヘモクロマトーシス / 血液型不適合妊娠 |
研究実績の概要 |
母体の同種免疫異常によって引き起こされる胎児の臓器障害では,非常に予後が悪く,重症の場合は救命も困難となることがある.母体免疫が関与することから免疫抑制治療が行われているが,治療の免疫学的メカニズムは明らかではなく、治療効果の目安となる指標も存在しない.本研究では,同種免疫異常が関与する妊娠病態において、母体免疫能が正常妊娠経過と比較し病状とともにどのように変化・推移していくのかを捉えることを目的とする.具体的には、①正常妊婦における免疫細胞機能の推移,②同種免疫性疾患妊娠における無治療時の免疫細胞機能の推移,③同種免疫性疾患妊娠における免疫抑制療法施行時の免疫細胞機能の推移,について比較検討を行う. 平成30年度に倫理承認を得た「同種免疫性疾患と母体免疫細胞機能・代謝産物との関連解析」について,当センターと共同研究施設における,①正常妊婦,②血液型(RhD型)不適合妊娠,③新生児ヘモクロマトーシス既往妊娠の3群について継続的にリクルートを行い,検体採取と母体免疫細胞機能解析を実施する.本研究により,同種免疫異常の病態を反映する免疫学的バイオマーカーを明らかにし,その推移をもとに、適切な薬剤投与量と投与時期を決定できる治療を可能にする臨床応用へとつなげることが最終的な目的である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度も令和2年度に引き続き,新型コロナウイルスの感染流行(第4波,第5波,第6波)による影響に伴い同種免疫性疾患のうち,新生児ヘモクロマトーシス症例においては,症例の登録は1例で,研究参加検体は3件であった. 一方,血液型不適合妊娠においては,R2年度より継続参加の2名の症例に加え,新規4名の症例より計10回の検体提出を実施でき,母体免疫細胞解析を実施した. コントロール妊婦においては, 研究機関において患者の在院時間を極力制限したことにより,エントリーは0件であった. 新生児ヘモクロマトーシス症例において5例,血液型不適合妊娠においては,研究当初より計17例の症例登録を達成し得た.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,現時点で,治験待機中の③新生児ヘモクロマトーシス罹患群の妊婦を追加で1~2名リクルート予定である. 依然として,新型コロナウイルスの感染流行は続いており,現場の状況を見ながら,①コントロール群,②血液型不適合妊娠症例についても,感染流行改善時期を狙って昨年度同様リクルートを進め,各群の妊娠転帰の収集とともに,臨床マーカーとしての意義について検討を行っていく予定で,来年度での学会発表を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度も令和2年度に引き続き,新型コロナウイルスの感染流行(第4波,第5波,第6波)による影響に伴い症例リクルート中断期間があったため
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