生体の抗酸化の中心を担う転写因子Nrf2に着目した加齢性難聴の予防法の解明を目的に本研究を行った。12ヶ月齢のNrf2活性型の遺伝子改変マウスと野生型マウスを比較検討した。聴性脳幹反応の解析によりNrf2の活性化により低音域から中音域で加齢性難聴が予防できることを明らかにした。この結果を裏付けるように組織学的解析でも、Nrf2の活性化により、蝸牛頂回転と中回転のラセン神経節、ラセン靭帯、外有毛細胞の加齢性変性が有意に抑制されていた。さらに、免疫組織化学的検討によりNrf2の活性化により酸化ストレスが減弱が示された。この結果から、Nrf2の活性化が加齢性難聴の予防に有効であると考えられる。
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