研究課題/領域番号 |
18K16827
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
齋藤 秀和 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (00791948)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 好酸球 / 遊走動画 / Etosis |
研究実績の概要 |
好酸球遊走モデルの確立し、好酸球増多疾患特に好酸球性副鼻腔炎の疾患理解、治療、予防に役立てるという大きな目標があり、これまでデータを蓄積してきた、Eotaxin-CCR3系から遊走の解析を行い、細胞の移行、次に細胞死の観察を行った。初年度の計画通りPGD2系の解析も行った。現在はディープラーニングによる好酸球遊走動画モデルの作成のため動画解析の方法を模索中である。 最終的には仮想の物質に対する好酸球の遊走能の変化、細胞死の変化を観察し、確認作業としてヒト好酸球を用いて再現実験を行う。1年目の目標として、さらなるデータの蓄積のため各種ケモカインに対する遊走を観察することを挙げ10種のリガンドと、そのアンタゴニストを用いる計画とした。現時点では、麻黄湯などの新たな物質やヘパリンの添加による変化を観察した。また、解析法に関してはインターネット上で公開されているプラットフォームを用いて画像解析に関して技術を向上している。数値化に関しては、以前使用していた解析ソフトも使用しており、細胞分布、速度などを数値化し評価した。この内容の一部は好酸球研究会にて報告した。次年度の目標として、一つの好酸球の動きの解析からはじめ、徐々に1視野(約200個)の好酸球の動き、細胞死の際の形態変化を数値化したデータとして得ることを挙げている。本年度は遊走動画の解析結果に関して、耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会にて好酸球とプロスタグランジンD2に関し報告した。また、Etosisとシャルコーライデン結晶の形成に関して報告した。今後、データの蓄積、画像解析を行い好酸球遊走モデルを確立していく。特に次年度に重点を置く項目としては、一つの好酸球をモデル化することであり、好酸球の少ない状態での動態解析も同時に行いたい。TAXIScanの解析のみならず光学顕微鏡での経時的な変化特に形態学的な変化についても観察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れている点としては、リガンド、アンタゴニストに関し10種類程度の追加実験を予定していたが、4種の結果しか得られなかった。理由としては、好酸球の分離の当日に臨床業務が重なり実験開始時刻が遅れ正確なデータが得られなかったことが数度あり、数か月単位での遅れとなった。昨年度、新たな好酸球分離法で得られた好酸球でも検討し、これまでの分離法と有意な差がないことが判明しており、今後はドナーの都合に合わせもう少しフレキシブルに好酸球の採集が可能となる予定であり、遅れは取り戻せると考えている。また、1年目の計画に挙げていた、PGD2の検討に関しては予定よりも早く進んでいる。当初の計画では2年目以降に行う予定であった、好酸球ドナーによる反応の違いも検討することができた。免疫アレルギー学会においてシンポジウムのテーマとして「脂質メディエーター」を頂き、PGD2の理解、新たな考察に結び付いたためと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで通りの予定で実施していく予定であるが、上述のように分離法を新たな方法とすることで、実験時間が自由にとれるようになり基礎実験のデータを容易に増やしていけるものと考えている。画像の画像解析にEotaxin-CCR3系からはじめ、のちにPGD2系とシミュレーションを作成する流れは当初の予定通りである。遊走中の変化、細胞死の変化を形態学的に観察を続け、同時に画像認識ソフトでのモデル作成を行っていく。1年目に達成できなかった10種のリガンドと、そのアンタゴニストを用いることを早急の課題としている。現時点では、麻黄湯などの新たな物質やヘパリンの添加による変化を観察した。この動画に関しても解析を続けていく。動画解析に必要なプラットフォームは現在インターネット上で公開されているものも多くなり、自分自身の画像解析に関しての技術を向上していく。数値化に関しては、以前使用していた解析ソフトも今後も使用し、細胞分布、速度など好酸球の大まかな動きを解析する。2年目の目標として、一つの好酸球の動きの解析にも力をいれる。1年目は遊走動画の解析結果に関して、耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会シンポジウムにて好酸球とプロスタグランジンD2に関し報告した。また、Etosisとシャルコーライデン結晶の形成に関して、一般演題で報告した。今後、更なるデータの蓄積、画像解析を行い、好酸球モデルを確立していく。特に次年度に重点を置く項目としては、一つの好酸球をモデル化することであり、好酸球の少ない状態での動態解析も同時に行いたい。TAXIScanの解析のみならず光学顕微鏡、倒立顕微鏡での経時的な変化、特に形態学的な変化についても観察していく予定である。途中経過に関しては1年目と同様に、各種学会にて積極的に報告し、好酸球に対する理解を常に向上させていくていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画がやや遅れたことによる、試薬の購入費が計画よりも低く抑えられた事が最も大きい。1年目に購入予定であった試薬の購入と、論文投稿に関する費用に予定額に上乗せして使用予定である。また、解析に必要なソフトの選定をしており初年度は購入を見合わせた。次年度以降の請求とする予定である。
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