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2019 年度 実施状況報告書

アルコール代謝遺伝子多型と飲酒量が頭頸部癌症例の血清マグネシウム濃度に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 18K16834
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

有泉 陽介  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (30444110)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード低マグネシウム血症 / 飲酒 / 遺伝子多型 / 頭頸部癌 / 腎機能障害 / シスプラチン
研究実績の概要

本研究の目的はシスプラチン投与を受ける我が国の頭頸部癌症例において、アルコール代謝関連遺伝子の多型と飲酒量の低マグネシウム血症への寄与を定量す ることである。シスプラチンは頭頸部癌の標準治療薬であり、用量制限毒性は腎毒性である。従って腎機能は頭頸部癌における一種の予後規定因子と考えること が出来る。研究代表者は平成28年度に頭頸部癌患者においてマグネシウムを補充することでシスプラチン投与量を有意に多く維持可能であることを論文報告し た。低マグネシウム血症は一般的には飲酒、下痢、低栄養、プロトンポンプ阻害剤などが原因とされているが、これら因子の寄与割合については不明である。一 方、飲酒による発癌性は遺伝子多型によって大きく異なることなり、中でもアルコール代謝に関わるALDH2/ADH1遺伝子多型の影響が大きいことが知られている。 自験例ではアルコール依存症など大量飲酒例が高度な低マグネシウム血症を来していた。以上から「低マグネシウム血症もALDH2/ADH1遺伝子多型や飲酒量の影響 を受ける。」と仮設を発案するに至った。 本研究の先行研究はないため、必要なサンプルサイズを見積もるためのパイロットスタディを行った。まず主要評価項目である遺伝子多型と飲酒量による低マグネシウム血症発生頻度について調査を行った。報告書記載時点で20例ほど遺伝子検査を行っているが、主要評価項目であるであるマグネシウム低値の症例数が前施設のデータより少なくパイロットスタディを終了できていない。施設や地域による患者相の違いに起因するものと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在は検証的な研究実施に必要なサンプルサイズを見積もるパイロットスタディの段階である。当院では2016年まで化学放射線療法症例の血中マグネシウム値を測定していなかったため、対象となる症例は2016年以後のものに限定される。順次症例を積み重ねており、2020年5月16日現在86例において治療前の血中マ グネシウム濃度の測定がなされており、現在までに19例に遺伝子検査を施行しているが、症例集積スピードが当初予想していたものより遅くなっている。また、これらのうち本研究の主要評価項目である治療前のマグネシウム低値を来していた症例も当初の予想よりやや少ない。そのために主な目的である遺伝子多型と飲酒量の影響を見積もるに未だ至っていない。

今後の研究の推進方策

その後順調に症例が増えてきている。今後はまずマグネシウム低値の症例を選定して遺伝子検査を行う。ただしマグネシウム低値の症例が前施設より少ない傾向にあるので、マグネシウム低値とする閾値の再設定が必要である。遺伝子検査を行った症例がある程度集積した時点で必要サンプルサイズを計算して検討的な研究を実施する。その 際にサンプルサイズが多くなった場合は当院だけで研究を遂行することは難しい。関連施設である都立駒込病院、埼玉県立がんセンター、群馬県立がんセンター などとの多施設共同研究を検討する。
ただし当施設では2020年3月以降、COVID-19蔓延による新規臨床試験への症例登録が禁止されており、禁止措置解除を待つ必要がある。

次年度使用額が生じた理由

進行状況に記した通り研究がやや遅れているため。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (13件)

  • [雑誌論文] The quantitative analysis of the human papillomavirus DNA load in submandibular gland lesions with droplet digital polymerase chain reaction2019

    • 著者名/発表者名
      Okada Ryuhei, Ito Taku, Nomura Fuminori, Kirimura Susumu, Cho Yuichiro, Sekine Masaki, Tateishi Yumiko, Ariizumi Yosuke, Asakage Takahiro
    • 雑誌名

      ACTA OTO-LARYNGOLOGICA

      巻: 139 ページ: 105-110

    • DOI

      10.1080/00016489.2018.1562215

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Horner症候群を契機に発見された交感神経鞘腫2019

    • 著者名/発表者名
      清川 佑介, 河邊 浩明, 小出 暢章, 立石 優美子, 田崎 彰久, 有泉 陽介, 朝蔭 孝宏
    • 雑誌名

      頭頸部外科

      巻: 29 ページ: 73-78

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 【命と機能を守る頭頸部がん診療】頭頸部の非扁平上皮がん2019

    • 著者名/発表者名
      有泉 陽介, 朝蔭 孝宏
    • 雑誌名

      日本医師会雑誌

      巻: 148 ページ: 1090-1090

  • [雑誌論文] 側頭開頭を加えた頭蓋底手術により顔面神経を温存して全摘した顎関節滑膜軟骨腫症の1例2019

    • 著者名/発表者名
      有泉 陽介, 堤 剛, 田中 顕太郎, 朝蔭 孝宏
    • 雑誌名

      Facial Nerve Research

      巻: 38 ページ: 161-163

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pigmented villonodular synovitis occurring in the temporomandibular joint2019

    • 著者名/発表者名
      Nomura Fuminori, Ariizumi Yosuke, Kiyokawa Yusuke, Tasaki Akihisa, Tateishi Yumiko, Koide Nobuaki, Kawabe Hiroaki, Sugawara Takashi, Tanaka Kentaro, Asakage Takahiro
    • 雑誌名

      Auris Nasus Larynx

      巻: 46 ページ: 609-617

    • DOI

      10.1016/j.anl.2018.10.021

    • 査読あり
  • [学会発表] 下咽頭癌気管傍リンパ節転移に対する術前CT診断の正確性2020

    • 著者名/発表者名
      有泉陽介, 高橋亮介, 田崎彰久, 小出暢章, 河邊浩明, 大野十央, 朝蔭孝宏
    • 学会等名
      頭頸部外科学会
  • [学会発表] 当科で行っている鼻副鼻腔悪性腫瘍に対する経鼻内視鏡手術2019

    • 著者名/発表者名
      有泉陽介, 小出暢章, 河邊浩明, 田崎彰久, 大野十央, 朝蔭孝宏
    • 学会等名
      頭頸部癌学会
  • [学会発表] 経鼻内視鏡頭蓋底手術の適応 -硬膜浸潤のない鼻副鼻腔悪性腫瘍-2019

    • 著者名/発表者名
      有泉陽介, 河邊浩明, 高橋亮介, 小出暢章, 田崎彰久, 大野十央, 田中洋次, 朝蔭孝宏
    • 学会等名
      頭蓋底外科学会
  • [学会発表] ニボルマブの有害事象で大腸亜全摘した1例2019

    • 著者名/発表者名
      河邊 浩明, 小出 暢章, 立石 優美子, 田崎 彰久, 大野 十央, 有泉 陽介, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      第43回 頭頸部癌学会
  • [学会発表] 鼻副鼻腔悪性腫瘍に対する経鼻内視鏡手術の有用性と安全性2019

    • 著者名/発表者名
      有泉 陽介, 河邊 浩明, 小出 暢章, 田崎 彰久, 大野 十央, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      第43回 頭頸部癌学会
  • [学会発表] 高用量シスプラチン同時併用放射線療法における緊急入院と長期入院の危険因子2019

    • 著者名/発表者名
      大崎 聡太郎, 有泉 陽介, 小出 暢章, 河邊 浩明, 立石 優美子, 田崎 彰久, 大野 十央, 吉村 亮一, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      第43回 頭頸部癌学会
  • [学会発表] 重篤な放射線性壊死を起こした3症例2019

    • 著者名/発表者名
      星 裕太, 田崎 彰久, 河邊 浩明, 小出 暢章, 立石 優美子, 有泉 陽介, 大野 十央, 吉村 亮一, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      第43回 頭頸部癌学会
  • [学会発表] 咽喉頭表在癌内視鏡治療例における多発癌の検討2019

    • 著者名/発表者名
      川田 研郎, 河邊 浩明, 杉本 太郎, 小出 暢章, 田崎 彰久, 大野 十央, 有泉 陽介, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      第43回 頭頸部癌学会
  • [学会発表] 下咽頭癌放射線療法後残存・再発例に対する経口的切除術による救済手術の治療成績2019

    • 著者名/発表者名
      杉本 太郎, 川田 研郎, 清川 佑介, 立石 優美子, 大崎 聡太郎, 河邊 浩明, 小出 暢章, 江口 紘太郎, 田崎 彰久, 野村 文敬, 大野 十央, 有泉 陽介, 白倉 聡, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      第43回 頭頸部癌学会
  • [学会発表] 下咽頭早期癌治療の嚥下機能への影響2019

    • 著者名/発表者名
      小出 暢章, 河邊 浩明, 立石 優美子, 田崎 彰久, 大野 十央, 有泉 陽介, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      第43回 頭頸部癌学会
  • [学会発表] 下咽頭喉頭癌 機能温存への挑戦はどう進んでいるか ELPS2019

    • 著者名/発表者名
      清川 佑介, 杉本 太郎, 川田 研郎, 大崎 聡太郎, 立石 優美子, 河邊 浩明, 小出 暢章, 田崎 彰久, 大野 十央, 有泉 陽介, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      第43回 頭頸部癌学会
  • [学会発表] Droplet digital PCRを用いた顎下腺疾患におけるヒトパピローマウイルスDNA量の定量化2019

    • 著者名/発表者名
      岡田 隆平, 伊藤 卓, 野村 文敬, 立石 優美子, 有泉 陽介, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      日本耳鼻咽喉科学会
  • [学会発表] 外耳道非扁平上皮癌例の特徴とその対応2019

    • 著者名/発表者名
      堤 剛, 清川 佑介, 有泉 陽介, 川島 慶之, 朝蔭 孝宏
    • 学会等名
      日本耳鼻咽喉科学会

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公開日: 2021-01-27  

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