蝸牛外側壁は血管条を中心として内リンパ液の特殊な高電位かつ高カリウムイオン環境に不可欠であることが知られており、その組織学的な変化は加齢性難聴に大きく影響していると推測される。通常は立体的観察が困難である蝸牛外側壁を、準超薄連続切片を走査型電子顕微鏡で観察し3次元再構築を行うことで立体像を得ることができ、蝸牛外側壁を構成する諸細胞の3次元像を解明できると考えられる。本研究の中では月齢毎のラットの差異について決定的な所見は得ることができなかったが、この手法の発展は加齢性難聴の病態解明、予防法または治療法の開発につながることが期待される。
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