研究課題
本年は自閉症モデルマウスを用いて、聴覚中枢における解析を生理学的検査、電顕による形態学精査によって行った。聴性脳幹反応では、野生型マウスと比較してモデルマウスでは閾値の上昇はみとめないものの、潜時の延長をみとめた。特に、Ⅴ波で有意に遅延しており、中脳に存在する聴覚中枢の一つである下丘での異常が疑われた。下丘では電顕において髄鞘厚が優位に薄く、また神経細胞間のシナプス数にも有意な異常をみとめた。これらより、自閉症モデルマウスにおいては髄鞘、シナプスの異常が聴覚伝導の遅延を起こしていることが示唆され、行動異常を引き起こす一因となることが考えられた。
2: おおむね順調に進展している
解析は当初の予定通り行われている。新型コロナ感染の対応により、発表や研究時間の制限はあった。
さらに生化学的な解析を進め、シナプスや髄鞘における分子学的な異常を明らかにする予定である。また、薬剤による介入を行い、聴覚に焦点をあてた改善が見られるか検討していく
予定より多くの解析をすすめるにあたって、サンプル調整や薬品購入に用いた。次年度はこれらの解析を進めていく。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Scientific Report
巻: 10 ページ: 17795
10.1038/s41598-020-73984-3