嗅覚の再生機序の解明と再生促進のための研究モデルとして、マウスなどの実験動物と嗅上皮初代培養が用いられているが、前者では継時的観察や嗅神経から嗅球への軸索伸長とシナプス形成に関する検討が難しく、後者は生体の組織構築を反映していないという不備がある。そこで本研究では、生体で見られる複数の細胞種による3層構造を保持した状態の嗅上皮組織を長期間培養できる培養法を検討し、薬剤処理などによる障害からの再生過程を詳細かつ継時的に観察できる培養系の検討を試み、物理的損傷モデルを確立した。本モデルを用いることで層構造再生に必要な因子の探索が可能であり、嗅上皮再生治療薬の探索に貢献できる可能性がある。
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