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2019 年度 実施状況報告書

ラセン神経節神経幹細胞の増殖・分化制御機構の解明とその聴力再生への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K16845
研究機関九州大学

研究代表者

安井 徹郎  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60803468)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード再生医療 / 神経幹細胞 / エピジェネティクス / 内耳再生 / 聴覚再生
研究実績の概要

近年では成体哺乳類中枢神経において神経幹細胞の存在が報告されており、その解析と再生への取り組みは著しい進捗を遂げている。その一方で聴覚神経における神経幹細胞研究は、その由来や分化傾向など未だ不明な点が多く、一次ニューロンである蝸牛ラセン神経節細胞は、成体哺乳類においては一度傷害されると再生しないと言われてきた。これに関して申請者は、成体マウスのラセン神経節においても内在性神経幹細胞が静止状態で存在するとの仮説を立て、その増殖・分化・成熟の制御が傷害された聴神経回路の再構築に重要な役割を担う可能性を考慮した。
そこで本研究では、成体ラセン神経節における内在性神経幹細胞を同定し、このラセン神経節神経幹細胞の増殖・分化制御機構を解明する。さらに、傷害時においてこの制御機構を応用することで、新生ニューロンによる神経回路機能の再獲得および聴力改善を目指した。
まず、申請者は本研究において成体マウスにおけるラセン神経節神経幹細胞の同定としてNa-Kポンプ阻害剤であるウアバインを8週齢のICRマウスの内耳正円窓に投与し、成体マウスにおける薬物性内耳傷害モデルマウスを作成した。この薬物性内耳傷害モデルマウスを追跡すると、僅かながらに障害後に増殖性および多分化能をもつラセン神経節神経幹細胞の存在が示唆された。
このラセン神経節神経幹細胞による聴神経回路の再構築を目的とし、外因子としての増殖因子の投与と内因子としてのエピジェネティクスを介した制御の応用により、その増殖およびニューロンへの分化制御機構を介した、傷害時における新生ニューロンによる神経回路機能の再獲得および聴力改善は達成された。
本研究内容は現在、英文学会誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目的である成体ラセン神経節での内在性神経幹細胞の同定、およびこのラセン神経節神経幹細胞の増殖・分化制
御機構を応用した、傷害時における新生ニューロンによる神経回路機能の再獲得および聴力改善は達成され、現在投稿中である。
学会誌により広く研究内容の発表に至らなかったためおおむね順調に進展の評価に止まるが、並行して元来の計画よりも進展した研究計画を立案・推進しており、今後よりよい進捗を報告できるものと期待します。

今後の研究の推進方策

より精緻な追加研究として、このラセン神経節神経幹細胞の由来を同定するべく、レポーターマウスの購入・繁殖によ
る神経幹細胞の追跡実験を行う予定です。

次年度使用額が生じた理由

当初の目的である成体ラセン神経節での内在性神経幹細胞の同定、およびこのラセン神経節神経幹細胞の増殖・分化制
御機構を応用した、傷害時における新生ニューロンによる神経回路機能の再獲得および聴力改善は達成され、現在投稿
準備中である。
より精緻な追加研究として、このラセン神経節神経幹細胞の由来を同定するべく、レポーターマウスの購入・繁殖による神経幹細胞の追跡実験を行う予定であり、事業期間の延長のうえ、レポーターマウス購入・繁殖のための予算としたい。なお、当該実験施設の承認はとれたがCOVID-19のためマウス受精卵の輸入ができていない現状です。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 成体ラセン神経節における傷害誘導性ニューロン新生2019

    • 著者名/発表者名
      脇園 貴裕 , 安井 徹郎 , 野田 哲平 , 中川 尚志 , 中島 欽一
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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