研究課題/領域番号 |
18K16847
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
川畠 雅樹 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (30585112)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Phosphorylcholine / PAF- receptor / ヒスタミン1受容体 / Poly (I:C) / アレルギー / 上気道感染症 |
研究実績の概要 |
ヒト鼻粘膜上皮細胞を用いて、platelet activating factor (PAF)のplatelet activating factor receptor (PAF-R)とhistamine 1 receptor (H1R)の発現量の影響についてreal-time PCRを用いて測定した。過去にラットのマクロファージにおいて、PAFそのものがPAF-Rの発現量を促進することが報告されているが、今回用いたヒト鼻粘膜上皮細胞においては、PAFの量および刺激時間に関わらずPAF-R mRNAの発現量に変化は見られなかった。また、マウスの神経節細胞においてPAFがH1Rの発現量を促進することが報告されているが、ヒト鼻粘膜上皮細胞においては、PAFの量および刺激時間に関わらずPAFRのmRNA発現量に変化は見られなかった。Poly (I:C)の刺激により鼻粘膜上皮細胞のPAFR、H1RのmRNAの発現亢進が亢進することは確認していたが、以上の結果を支持すように、Poly (I:C)で刺激際のPAF-R、H1RのmRNAの発現量はPAFの刺激の有無に影響されなかった。 当初の実験が予定通りに進まない場合のために、PCによるインフルエンザ菌のバイオフィルム形成阻害を検討する実験も並行して行ってきた。その結果、インフルエンザ菌を抗PC抗体で処理することで、バイオフィルム形成が抑制される菌株が存在することを確認した。しかし、それらの菌株に見られる特徴については現在、検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PAFによりPAF-RやH1Rの発現量が促進されることを過去の報告から当初予測していた。しかしながら、予測とは異なる結果が続き、それらの受容体の発現が鼻粘膜上皮においては変化しないことを確認するため追試実験を行い、時間を要した。鼻粘膜上皮細胞での結果をもとに、アレルギーマウスモデルを用いたPCによるアレルギー性炎症の抑制効果をみる予定であった。こちらについては、鼻粘膜上皮細胞での基礎データをもう少し検討したあとで開始予定である。
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今後の研究の推進方策 |
鼻粘膜上皮細胞において、Poly (I:C)によりPAF-R、H1RのmRNAの発現量が促進することは確認できている。また、これらのmRNAの発現量がステロイドであるmometasoneにより抑制されることが確認できた。実臨床においてウイルス性上気道感染症の後にアレルギー性鼻炎の症状が増悪することはよく経験されることであり、mometasoneの投与により、これらのアレルギー性鼻炎の増悪が抑制されるかを検討していく予定である。またこれらの症状増悪をPCで抑制しうるかを、鼻粘膜上皮細胞での結果をもとにアレルギーマウスモデルを用いて検討していく。 また、PCによる上気道感染症予防戦略として抗PC抗体によりバイオフィル形成が抑制される菌株とPC発現量との関係性を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予測とは異なる結果が出たため、当初の実験計画を変更し、動物実験を行わなかったため次年度使用額が生じた。今年度は、鼻粘膜上皮細胞の実験のサンプル解析を行うとともに、鼻粘膜上皮細胞での実験結果をもとにアレルギーマウスモデルを使用した動物実験を行い、予算を使用する予定である。
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