研究課題
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)関連中咽頭癌はHPV陰性癌と比較し予後が良好と考えられているが、その中にも予後不良な症例は依然として存在しており、その理由は明らかではない。我々は今までのNGSを用いた研究でHPV関連頭頸部癌細胞株においてHPVは遺伝子間領域に組み込まれていることを確認した。そこで、本研究ではまず代表的なnon-coding RNAであるマイクロRNAに着目し、HPV関連頭頸部癌細胞株を用いて網羅的マイクロRNAプロファイリングを行い、HPV感染により発現が変動するマイクロRNA群の中から予後に影響を及ぼすと考えられるマイクロRNAを同定することより開始した。その結果をThe Cancer Genome Atlas(TCGA) database上のマイクロRNA発現と比較解析し、HPV感染と発現に相関があり、HPV関連頭頸部癌の予後不良因子となりうるマイクロRNAを抽出した(mirA-E)。これらのマイクロRNAの発現変動と予後との関連を調べるため、in vitroで細胞増殖、遊走能の関連について検討を行った。その結果mirBの発現変動を行うことで細胞増殖能、遊走能に有意に差が得られたため、今回同定したmirBがOncomiRである可能性が考えられた。続いて、複数のPublic databaseを組み合わせて用いることで、mirBにより制御されるtarget geneの絞り込みを行った。その結果、mirBの発現制御によりgeneX、Yの発現変動が生じることが明らかとなった。以上より、HPV関連中咽頭癌の発癌機構において、mirBは増殖能、遊走能を亢進することを明らかとした。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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