研究課題/領域番号 |
18K16864
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
東野 正明 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (30397278)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 耳下腺癌 |
研究実績の概要 |
手術にて摘出した耳下腺癌組織について、耳下腺癌およびその周辺組織におけるCOX1、COX2、PGE2、IL-6、IL-8、IL-10の発現を検討したが、有意な結果が認められなかった。そこで、唾液腺癌における局所免疫環境を考えるにあたり、PD-L1と肥満細胞の関係に着目することとした。肥満細胞はキマーゼやトリプターゼを産生し、特にキマーゼは血管内干増殖因子であるVEGF、基底膜を分解するMMP-9、上皮間葉転換を制御するTGF-betaなどのメディエーターを活性化させ、腫瘍の増殖や転移を促進させる。耳下腺癌で最も多い組織型である多形腺腫の悪性転化の原因を探るべく、肥満細胞やその分泌物質と腫瘍病理の関係に関する研究を進めた。当科で手術を施行した多形腺腫(PA)および多形腺腫由来癌症例(CXPA)の切除組織を用いて、免疫染色とRT-PCRを施行しキマーゼやキマーゼ関連物質の発現状況について検討を行った。 その結果、PA と比較してCXPA ではキマーゼとトリプターゼを含む MCTC タイプの肥満細胞の増加を認めた。また、RPA と CXPA におけるキマーゼの発現量は増加傾向または有意に増加していた。VEGF の遺伝子発現の増加に伴い、CXPA における血管新生の増加傾向を示していた。SCF や TGFbetaの免疫染色における陽性染色像も確認された。アンギオテンシンII による VEGF の増加や TGFbetaおよび MMP-9 の発現増加は種々の悪性腫瘍の血管新生並びに転移に関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の時間の捻出ができておらず、十分な時間を研究に割けなかったが、少しずつ研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、唾液腺癌におけるキマーゼやトリプターゼの発現とPD-L1をはじめとした免疫担当細胞および腫瘍微小環境因子などとの関連性を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の助成金使用額について、次年度の計画に盛り込むことで、唾液腺癌におけるキマーゼやトリプターゼの発現とPD-L1をはじめとした免疫担当細胞および腫瘍微小環境因子などとの関連性を検討していくために使用する予定である。
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