得られた結果からは鼻粘膜上皮細胞は自然免疫応答によってサイトカイン産生を制御していることが判明した。サイトカインは好酸球性副鼻腔炎などの副鼻腔炎症性疾患のに関与している。この制御はこれらの疾患の予防・治療などに応用できる可能性が示唆された。 特に、自然免疫受容体のTLR3はdsRNAを特異的に認識するレセプターであること、ウィルス増殖の際にはdsRNAが産生されること、また、急性鼻炎の多くはウィルス感染に起因することをあわせて考えると、この鼻粘膜上皮細胞における特異的な自然免疫応答は、生体において合目的的な機構と考えられた。一方で、疾患によってはこの応答が生体にとって不利に働くことも判明した。
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