研究課題
申請者が以前論文発表をおこなった、369例の慢性副鼻腔炎患者の血清ペリオスチンの結果と、様々な臨床所見について統計学的な検討を行った。従来のJESRECの診断基準に組み合わせ、術後再発を重視した新たな診断基準案の作成を行い、学会発表を行った(第37回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会)。2007年から2012年に内視鏡的副鼻腔手術を受けた96症例の慢性副鼻腔炎患者からの鼻茸(非好酸球性副鼻腔炎 44例、軽症好酸球性副鼻腔炎 13例、中等症好酸球性副鼻腔炎 27例、重症好酸球性副鼻腔炎 12例)に対して、免疫組織化学を行った。抗体はペリオスチンのファシクリンドメインに対する抗体、およびC末端の各構造に対する抗体を用いた。重症好酸球性副鼻腔炎ではファシクリンドメインと比較して、C末端が強く発現している傾向が認められた(P=0.33)。アイソフォームは鼻茸中にはtranscript variant 2(NCBI Reference Sequence: NM_001135934.1)が多く認められ、特に重症好酸球性副鼻腔炎では9/12(75%)がtranscript variant 2であった(P=0.71)。症例数が少ないため統計学的有意差が認められないが、重症の好酸球性副鼻腔炎でペリオスチンC末端、および特定のアイソフォームが関連していることが示唆された。これらの結果について学会発表を行った(第37回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会)。
2: おおむね順調に進展している
申請書に記載のある平成30年度の研究計画については、おおむね終了することができた。現在、血清ペリオスチン値と経口、経鼻からの一酸化窒素(NO)値との関連については統計学的な解析を行っているところである。
症例数が少ないため統計学的有意差が認められないが、重症の好酸球性副鼻腔炎でペリオスチンC末端、および特定のアイソフォームが関連していることが示唆された。症例数を増やして免疫組織化学を行うとともに、リアルタイムPCRなどの別の実験系統で同等の結果を示すことを証明していく。また、申請書に記載のとおり、線維芽細胞を用いたペリオスチンアイソフォームの機能解析を準備中である。
研究成果が順調に進行し、追加の試薬の購入を行わなかった。次年度に今後の研究のための試薬、及び学会出張のために使用する予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Sci Rep.
巻: 8(1) ページ: 11450
10.1038/s41598-018-29612-2.