研究実績の概要 |
本研究では、慢性副鼻腔炎、特に好酸球性副鼻腔炎の難治症例においての、ペリオスチンアイソフォームの検討を行い、その難治化のメカニズムを解明するものである。 昨年度に行った、92症例の慢性副鼻腔炎鼻茸 (non-ECRS 43例,mild ECR 13例,moderate ECRS 25例,severe ECRS 11例)を使用したペリオスチンアイソフォームの検討では、Severe ECRSにおいて、moderate ECRS以下の群と比較してisoform 2優位に発現している症例が多かった(P=0.048).しかし、この抗体ではisoform 1,2,4および8以外のisoformの判別が困難であった。そこで、18症例(non-ECRS 7例,mild ECR 1例,moderate ECRS 7例,severe ECRS 3例)の鼻茸から抽出したtotal RNAを用いて、リアルタイムPCRを行い、各isoformの定量を行った。対照としてNHLF細胞から抽出したtotal RNAを用いた。18症例すべてにおいて、isoform 5が最も発現量が高く認められた。NHLF細胞ではisoform 3が最も強く発現していた。 慢性副鼻腔炎鼻茸におけるペリオスチンアイソフォームは、副鼻腔炎の重症度にかかわらず、全症例でisoform 5が最も強く発現していた。NHLF細胞とはisoformの発現のパターンが異なっており、鼻茸での組織特異性があると考えられる。このことから、isoform5は副鼻腔炎の難治化のメカニズムより、鼻茸の形成そのものに関連している可能性が考えられる。今後はisoform5の機能解析や、血清中の定量を行い、副鼻腔炎における役割をさらに解明していく。
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