研究課題
関東以西ではヒノキ林が植林されており、スギ花粉よりヒノキ花粉の飛散が多い地域もみられる。スギ花粉主要抗原とヒノキ花粉主要抗原は高い相同性を有するため、ヒノキ花粉症に対するスギ花粉舌下免疫療法の効果が期待された。しかし、ヒノキ花粉症に対する効果が乏しいことが分かり、新たに発見されたヒノキ主要抗原 Cha o 3が関与する症例で、ヒノキ花粉症に効果が得られない可能性を考えた。効果がない原因としてCha o 3と相同性を有するスギ抗原(Cry j 4)は、スギ花粉における含有量が少ないためと考察されていた。実際にヒノキ花粉症患者における血清Cha o 3特異的IgEはCha o 1特異的IgEより陽性率は高く、ヒノキ特異的IgEとCha o 3特異的IgEの強い相関はみられた。スギ花粉舌下免疫療法後には、スギ花粉の主要抗原であるCry j 1 特異的IgG4が産生され、Cry j 1刺激で末梢血単核球からIL-10産生が誘導されるが、ヒノキ花粉の主要抗原であるCha o 1, Cha o 3ではこうした変化は認められず、スギ花粉舌下免疫療法のヒノキ花粉症に対する免疫学的効果は限定的であると考えられた。
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Clinical Immunology
巻: 210 ページ: Jan
10.1016/j.clim.2019.108310