難治性副鼻腔炎である好酸球性副鼻腔炎においてSemaphorinの1種であるSEMA4Dが果たす役割について本研究で検証した。その結果、SEMA4Dは血管内皮細胞に作用しRhoA蛋白の活性化をに寄与していることが判明した。これに伴い炎症細胞である好酸球や好塩基球の局所への遊走がより容易になり、好酸球性副鼻腔炎の特徴である好酸球浸潤の強い鼻茸形成に寄与していると考えられた。加えてSEMA4Dは鼻腔上皮細胞に作用し、同様にRhoAの活性化を介した透過性の亢進作用を持つと同時に炎症性サイトカインであるIL-6の産生も亢進することが判明した。これらを踏まえSEMA4Dが病態形成に密接に関連すると考え、SEMA4D欠損マウスを用いた好酸球性副鼻腔炎モデルの病勢評価を行ったところ、SEMA4D欠損マウスにおいて野生型マウスと比較して炎症は軽微となる結果であった。さらにSEMA4Dの中和抗体を好酸球性副鼻腔炎モデルマウスに投与したところ同様に炎症が軽微となる結果が得られた。
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