研究課題/領域番号 |
18K16887
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大薗 芳之 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (10724768)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 内耳 / 平面細胞極性 / 細胞骨格 |
研究実績の概要 |
1年目の成果に加え、Dapleノックアウトマウス内耳有毛細胞での上皮面の微小管の広がりに異常があることを、免疫染色を通じて確認することで、既報の細胞骨格、特に微小管とのDapleの関係性について内耳有毛細胞で示すことができた。特に、微小管のダイナミクス評価のためにチロシン化された微小管や微小管+端結合蛋白質の免疫染色で微小管の上皮面での広がりに異常を確認することができたため、Dapleノックアウトマウスにおけるステレオシリアの異常に関しては、微小管ダイナミクスが障害されることにより生じていると推定された。またこれを示すために、微小管阻害剤投与下に行う内耳器官培養の実験系を新たに模索した。用いた微小管阻害剤に対し、内耳細胞はかなりの脆弱性を示し、最適な試薬濃度を同定するためにかなりの時間を要したが、最終的に培養に成功することができた。この培養系を用い、ステレオシリアの観察や、平面細胞極性関連蛋白質の観察を行ったところ、微小管阻害で誘導されるステレオシリアの異常は、Dapleノックアウトマウスのそれと類似していることが示された。さらに平面細胞極性関連蛋白質の染色に異常がなかったことも確認し、Dapleノックアウトマウスのステレオシリアの異常に関しては、微小管の異常が由来となっていることがより確からしいことが示唆された。また、透過電子顕微鏡でDapleノックアウトマウスの微小管の観察もおおむね完了し、免疫染色法で示された微小管の異常と同様の傾向が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目に研究成果を論文にまとめて投稿までさせるつもりで投稿準備を進めていたが、新型コロナウイルス蔓延に伴い、作業に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本科研費の最終年度であり、蝸牛における微小管とDapleの関係を示す免疫染色、電子顕微鏡、器官培養等の実験は完了しているため、論文の投稿したい。 また、余裕があれば前庭機能についての解析や、平衡斑におけるDaple発現の局在や細胞極性に異常がないかどうかも確認し、内耳における聴覚機能の他、平衡機能にDapleが関与しているかどうかを明らかにし、これについても報告を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
試料作製のための試薬、免疫染色の抗体の購入に関して、当初複数回の試行、抗体の変更に伴う新たな抗体の購入等により、購入経費がさらにかかるものと予想し、また大阪大学内で実験結果を撮影する蛍光顕微鏡、電子顕微鏡利用費もよりかかるものと予想されたが、研究が順調に行われたため、未使用額が生じた。 未使用額においては主に論文投稿に関係する費用と、論文投稿過程で新たに必要な追加研究に使用したい。
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